
紙の手形・小切手、ついに利用終了へ
かつては当たり前だった約束手形や小切手による取引ですが、ついにその役目を終えるときがきました。
2027年3月末をもって、紙の手形・小切手の利用が実質的に廃止されます。これは全国の金融機関に共通する流れで、熊本県内でも例外ではありません。
肥後銀行や福岡銀行といった地域金融機関もスケジュールを発表しており、利用中の企業・個人事業主の皆さまは、早めの対応が不可欠です。
なぜ廃止されるのか?背景と課題
紙の手形・小切手は、長年にわたって取引慣行として使われてきましたが、以下のような課題が指摘されてきました。
- 現金化までの時間が長く、資金繰りに影響
- 紛失・盗難・不渡りのリスクが高い
- 記載ミスなど手続きが煩雑
- 印紙代や郵送費など、隠れたコストが発生
また、インターネットバンキングや電子記録債権(でんさい等)といった、安全で効率的な電子決済手段が普及したことで、紙媒体の役割は終わりを迎えようとしています。
そもそも、これは誰が決めたの?
この動きは、2021年に政府が公表した成長戦略実行計画の中で明記され、「5年以内に約束手形を廃止する」方針が掲げられました。
それを受けて、全国銀行協会(全銀協)は2026年度末までに手形・小切手の交換枚数ゼロを目指す自主行動計画を策定。金融業界全体として、紙の利用廃止→電子化への移行を進めています。
参考:全国銀行協会「手形・小切手の電子化に向けて」
https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/special/kessai/pdf/tegatadenshi_leaf_2024_1.pdf
肥後銀行・熊本信用金庫でもスケジュール発表がある!
地元の主要金融機関である肥後銀行と福岡銀行は、それぞれ以下のような具体的スケジュールを公表しています。両行とも、2026年度末までに紙の手形・小切手の取扱いを終了する方針です。
【肥後銀行】
- 2025年9月30日:紙の手形・小切手帳の新規発行受付終了
- 2026年9月30日:手形・小切手の最終振出期限
- 2027年3月31日:電子交換所の廃止・取立受付終了
出典:https://www.higobank.co.jp/attention/detail?id=4180
【熊本中央信用金庫】
- 2024年10月1日:2027年4月1日以降を支払期日とする手形・小切手の代金取立受付を中止
- 2025年7月1日:手形・小切手帳の交付を廃止
出典: https://www.kumachu.jp/contents/report/pdf/tegata_kogixtute_densika_taiou.pdf
熊本銀行や熊本第一信用金庫、熊本中央信用金庫も似たようなスケジュールです。
紙の手形等の代替手段(専用の払戻請求書等)の用意をしている金融機関もあるようですので、各金融機関の詳細な対応等については、公式発表等をご参照ください。
今、やるべき4つのステップ
- 現状把握
取引先との支払いや受取で、手形・小切手を使っているケースがないか確認しましょう。 - 代替手段の選定
約束手形は「電子記録債権(でんさい等)」、小切手はインターネットバンキングへの移行を検討しましょう。 - 取引先との調整
支払方法の変更を伴うため、早めに取引先との合意・契約書の見直しが必要です。 - 社内教育と体制整備
スケジュールを社内で共有し、担当者への説明や運用ルールの確認も行いましょう。
代替手段として注目される「電子記録債権」とは?
電子記録債権(でんさい等)は、紙の約束手形に代わる新しい決済手段です。
従来のような印紙の貼付や郵送が不要で、オンライン上で安全かつ効率的に債権の発行・譲渡が行えます。
主な特徴としては以下のとおりです。
- 印紙税がかからない
- 紛失や盗難リスクがない
- 分割譲渡や部分割引も可能
- 受取人との合意があれば譲渡もスムーズ
- 全国の主要銀行が対応(熊本県内では肥後銀行・熊本銀行など)
導入にあたっては、金融機関への申込と初期登録が必要となります。相手先もでんさい利用者であることが前提となるため、事前確認が重要です。
信用や資金繰りへの影響を防ぐために
2027年4月以降、紙の手形・小切手を使った決済は原則として行えなくなります。
対応が遅れると、支払遅延や信用問題に発展するおそれがあります。
「うちはまだ使っていないから大丈夫」と安心せず、支払側・受取側の両面で早めの確認と準備が必要です。
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投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
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熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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