
【相談】基礎控除額の適用についての判断が難しいのですが…
私は30代で、会社の経理・給与計算を担当しています。
社員の入退社が多く、特に今月、7月末に退職される方がいらっしゃいます。
最近「令和7年度の税制改正で所得税の基礎控除額が引き上げられる」という話を耳にしましたが、この改正はどの年分の所得税から適用されるのかが曖昧で判断が難しいです。
たとえば、7月末に退社する社員について、基礎控除額を変える必要があるのか、あるいは令和7年分(2025年分)から一律に新控除額にすればいいのか、正確な指針が欲しいです。
どうぞよろしくお願いいたします。
【回答】今回の基礎控除額の改正は、「令和7年分」以後の所得税に適用されます
ご相談ありがとうございます。
熊本県熊本市の木下博昭税理士事務所、税理士の木下です。
令和7年度の税制改正により、所得税の基礎控除額が見直される点について、関心をお持ちいただいているのはさすがです。
給与計算の実務では影響の大きな変更ですので、正しく押さえておきたいところですね。
ご質問の件についてですが、今回の基礎控除額の改正は、「令和7年分」以後の所得税に適用されることとなっています。
そして、会社が行う源泉徴収においては、令和7年12月の年末調整の際に、新しい基礎控除額を反映して精算することになります。
したがって、たとえば令和7年中に退職される社員であっても、その年分の所得税に対して新しい基礎控除額が適用されるという点は、押さえておくべき重要なポイントです。
より詳しい内容や実務上の対応については、次の【解説】でわかりやすくご案内しますので、ぜひご参照ください。
【解説】
1.改正前の基礎控除額の仕組み
まず、令和7年度税制改正前における所得税の基礎控除額は、納税者本人の合計所得金額に応じて以下のとおり定められていました。
合計所得金額 | 基礎控除額 |
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
※なお、令和元年分以前は一律38万円でした。
2.令和7年度改正後の基礎控除額
今回の令和7年度税制改正により、上記の基礎控除額に新たな区分が加わりました。
控除額の上限は最大95万円となり、特に所得が低い方への控除が手厚くなる仕組みに見直されました。
具体的には、合計所得金額が132万円以下の方について、従来の48万円に加えて特例として37万円を上乗せし、合計95万円の控除が適用される形です。
この特例は、
- 合計所得金額が132万円以下の方には恒久的に適用
- 132万円超の方には2年間(令和7・8年分)のみの限定措置
という違いがあります。
3.いつから適用されるの?〜実務への影響〜
この改正は、令和7年12月1日施行で、令和7年分の所得税から適用されます。
そのため、
- 令和7年1月~11月の給与計算や賞与支給時点では、控除額の変更はありません。
- 実際に基礎控除額の変更が反映されるのは、令和7年12月に行う年末調整のタイミングです。
したがって、たとえば令和7年7月に退職された方についても、「令和7年分の所得」に対しては新しい基礎控除額が適用されることになります。
この場合、年末調整が行えないため、本人が確定申告を行う必要がある点にもご注意ください。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
-
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
何かご相談があればお気軽にどうぞ!
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