
仮想通貨(暗号資産)の利用が拡大する中、仮想通貨で利益を得た場合の所得税・住民税の申告義務は見逃せません。しかし、暗号資産同士の交換、レンディングやステーキングなど取引の多様化が進むほど、税務処理も年々複雑になってきています。
ここでは、仮想通貨取引と税務の基礎知識から、税理士に依頼すべき理由や相場、注意点までを網羅的に解説します。
個人の確定申告が必要なケース
仮想通貨による利益が年間20万円を超える場合、原則として確定申告が必要です。
対象となるのは、仮想通貨の売却だけではありません。
他の仮想通貨との交換、サービスや商品の購入、ステーキング報酬、エアドロップの受取なども課税対象になります。
つまり、日本円を介さない取引でも、経済的利益があれば課税されるのです。
また、仮想通貨の利益は「雑所得」に分類され、給与などと合算して税率が決まる「総合課税」の対象になります。
所得が増えれば増えるほど税率も上がるため、高額な税負担となるケースも少なくありません。
税理士に依頼すべき6つの理由
複雑な取引内容に対応できる
仮想通貨の世界では、単純な売買だけでなく、DeFi(分散型金融)、NFT、レンディング、ステーキングなど多種多様な取引が存在します。これらはそれぞれ課税タイミングや所得区分が異なり、正確な理解と判断が求められます。税理士に依頼すれば、こうした複雑な取引にも適切に対応できます。
損益計算の精度が向上する
損益計算は仮想通貨税務の中でも最も手間がかかる作業の一つです。取引履歴を取得し、時価を反映させながら計算を行う必要があり、複数の取引所やウォレットを使っている場合はなおさらです。税理士に任せることで、正確な計算とミスのない申告が期待できます。
節税対策の提案を受けられる
仮想通貨取引においても、税務の視点からみた節税対策が存在します。例えば、含み損のある通貨を年内に損切りすることで他の利益と相殺する「損益通算」や、最適な損益計算方法(総平均法・移動平均法)の選択などが挙げられます。税理士はこうした戦略を提案し、税負担の軽減に貢献します。
税務調査に対応できる
仮想通貨に関する税務調査も増加傾向にあります。申告内容に不備があると、数年後に税務署から調査を受けるリスクがあります。税理士が関与していれば、調査の際に適切な説明を行い、必要な資料を準備してくれるため、安心して対応できます。
今後の制度変更にも対応しやすい
2025年以降、仮想通貨に対する課税方法が大きく変わる可能性があります。たとえば、分離課税の導入や損失の繰越控除の適用などが議論されており、制度変更に柔軟に対応するには税理士の存在が欠かせません。
時間と手間を大幅に削減できる
仮想通貨の申告は、取引データの整理から申告書の作成まで膨大な時間と労力を要します。税理士に依頼することで、その手間を削減し、安心して本業や投資活動に集中できます。
税理士へ依頼する際の費用相場
仮想通貨特有の複雑な取引内容により、費用は高めで幅が広い傾向があります。
損益計算+税理士対応の相場
ケース 費用相場
簡易ケース(1〜2社、取引件数少) 10〜30万円
中規模(100〜1,000件、複数取引所) 30〜50万円
大規模(1,000以上、DeFi/NFT含む) 50〜70万円前後
→ 柔軟な対応が求められるほど、費用レンジが高まります。
オプション別費用
- 確定申告書代理作成:5〜10万円程度
- 取引履歴整理/CSV整形支援:+1〜5万円
- 損益計算ツール導入支援:+1〜3万円
- DeFi・NFT税務対応:+5〜10万円
- 税務調査対応支援+書面作成:+5〜20万円
- 継続顧問契約(月額):1〜3万円/月
➡ 他投資に比べ、10万円〜数十万円単位の差が出る可能性があります。
仮想通貨に強い税理士の選び方と依頼の実務フロー
仮想通貨の税務対応は、高度な専門知識と個別対応が求められるため、「誰に依頼するか」が確定申告の成否を左右します。
仮想通貨に強い税理士を選ぶべき理由
- DeFi・NFT・ステーキングなど複雑な取引に対応できる
- 海外取引所やウォレットのデータ取得・整形が可能
- 最新の税制改正(分離課税・繰越控除等)にも精通
- 税務調査リスクを踏まえた書類作成・説明資料の整備も可能
実際の依頼フローの例
- 仮想通貨取引の全体像を整理(取引所、件数、種類)
- 損益計算ツール(例:Gtax)で試算データ出力
- 税理士へ事前相談・見積依頼(初回無料が一般的)
- 必要資料の提出(取引履歴、通帳写し、本人確認書類等)
- 損益計算・書類作成→確定申告書類提出
税理士によっては「税務調査対応」「調査時の立会い」まで含めたプランを提供していることもあり、将来的な安心感にもつながります。
ツールとの併用で費用と効率の最適化を図る
- Gtax、クリプタクトなどのツールで一次計算→税理士に最終レビュー依頼
- 記帳代行まで任せたい場合は、丸投げプランを選択
- 取引規模が大きくなければ、部分委託(確認のみ)も現実的
注意点:仮想通貨対応を明示していない税理士に要注意
- 「対応可」としていてもDeFiやNFTは実務未経験なケースも
- 初回相談時に「過去の仮想通貨案件数」「得意分野」「使っている計算ツール」などを具体的に確認するのが重要
まとめ:信頼できる税理士+デジタルツールの併用がベスト
仮想通貨は取引が複雑であるほど、申告も高度になります。
正しく計算・申告し、税務署からの突発的な連絡にも冷静に対応できるよう、仮想通貨専門の税理士とパートナー関係を築くことが重要です。
税務署側の視点・調査トレンド
匿名取引・DEX・海外取引所・MetaMask等ウォレットは、国税にとっても「誰が行ったか」の特定が困難。
IRS(米国)はChainanalysis等と連携して追跡網を強化。
日本も解析ツール×職員育成に注力、Tax-Tech化に着手。
ただし現状ではブロックチェーン分析では損益計算は不可であり、依然として調査には限界があります。
今後の制度変更と分離課税の導入可能性
- 源泉徴収型・分離課税(約20.315%)の導入に向けた議論進行中
- 損失繰越控除、損益通算制度の整備が視野に
- DeFi・NFTなど新取引への「課税整備」も並行検討中
➡ 中長期的には、源泉徴収による申告自動化+税負担の明確化が実現する可能性があります。
まとめ:ペナルティ回避と安心のための正しい選択を
- 無申告や計算間違いは7年以内の調査対象に。加算税・延滞税・重加算税などのペナルティリスクあり
- ブロックチェーン解析の高度化により、「税務署の目」は今後ますます鋭くなります
- 高度で多様な取引があるほど、費用は30〜70万円前後の相場
- 費用と知見のバランスを考え、初回相談を使って信頼できる専門家を見極めましょう
仮想通貨の確定申告は、制度上の複雑さと、実務上の煩雑さが重なる難易度の高い業務です。税理士に依頼することで、正確かつ戦略的な申告が可能となり、長期的な節税にもつながります。
費用は決して安くはありませんが、ペナルティや過剰納税のリスクを避け、安心した取引を続けるためには十分に投資価値のある支出と言えるでしょう。
仮想通貨に強い税理士との連携は、いまや取引の「安全装置」として欠かせない存在です。
仮想通貨の税務は木下博昭税理士事務所にご相談下さい。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
-
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
何かご相談があればお気軽にどうぞ!
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