ペットは経費にできるのか?

こんにちは、熊本市の木下博昭税理士事務所です。

最近ではペットを飼っている人も増えてきたためか、「ペットの餌代を経費にしたいけど出来る方法ある?」などのご相談を承ります。

人間の場合は0~15歳以外には人的控除(基礎控除、配偶者控除、扶養控除、障害者控除など)があります。これは生きていくために必要な出費のうち、最低限必要な出費には税金はかけませんよ!というものです。ですが、ペットには扶養控除はありません。

そのため、経営者の中には「ペットで経費化出来ないか?」という考えに至る方もいらっしゃるようです。

実は、税務上でいえば、ペットは経費化出来るパターンもあれば、出来ないパターンもあります。
では、最初に、経費とは何かを確認してから、経費化出来るペット、出来ないペットについて解説します。

『経費』とは

この話題に触れるには、「経費」の定義についての知識が前提となってきます。
ということでまずは、経費とは何をもってして経費になるのかを解説していきます。

経費とは?

<経費とは>
事業所得不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。

(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額

(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額

国税庁 No.2210 やさしい必要経費の知識

ざっくりまとめると、「事業で収入を得るために直接必要不可欠で客観性のある出費」が経費になります。
事業に直接関係のない費用は、基本的に経費として計上できません。
また、客観的に見ても必要で直接関係ある!と言えなければ計上できません。


そのため、飼っているペットの餌代だけでも経費に…などの経費についてのご相談があるのですが、正直難しい場合が多い…というのが正直なところです。


今回のコラムでは、そのあたりを詳しく解説していきたいと思います。

事業におけるペット関連費用の経費計上について

事業者がペットを飼う場合、その飼育費用が経費として計上できるかどうかは、「そのペットが事業に関係しているかどうか」が大きな判断ポイントになります。ここでは、具体的な条件や注意点、勘定科目の扱いについて解説します。

経費計上できる主なケース

1. ペットが事業の中核にある場合

ドッグカフェや猫カフェ、ふくろうカフェなど、動物とのふれあいを主目的とした事業では、ペットそのものが売上に直結する存在です。このような場合、ペットにかかる費用(購入費、餌代、医療費、保険料など)は全額経費として計上できます。

2. 広告塔としての役割がある場合

ペットが企業のSNSやHPに登場し、会社のシンボルや広告として使われている場合も経費計上が可能です。「看板犬」や「猫駅長」などの広報活動としての役割が認められれば、広告費等として処理されることがあります。

ただし、広告塔として、確実に売上が上がっている証拠がある場合に限ります。例えば、看板犬グッズを販売した売上があるとか。

グッズ作成費用は全額経費です。

餌代などについては、売上からグッズ制作費と餌代を差し引いても黒字になる程度がいいかと思います。

3. 受付・警備目的での飼育

オフィスの受付やロビーでのペットの存在が来訪者への印象向上に寄与したり、防犯目的で番犬として活用されたりする場合、会社の備品や警備設備としての扱いで経費計上が認められやすくなります。

よくあるのが、受付にあるアクアリウムです。きらびやかな熱帯魚が素敵な水槽を見かけた事があるのではないでしょうか?

4. ネットビジネスでの利用

ペットの動画やブログを運営し、アフィリエイト等で収益が上がっている場合も、飼育にかかる費用は経費として認められる可能性があります。収益が発生していれば、個人で飼っているペットであっても経費対象になります。

経費計上が難しいケース

社員の癒しや職場の雰囲気作りといった抽象的な目的では、ペットと事業の直接的な関連性が乏しいと判断されることが多く、経費として認められないケースがあります。
また、自宅兼事務所での飼育では、事業とプライベートの区別が曖昧になるため、経費計上はより慎重に行う必要があります。

勘定科目別の取り扱い

購入費用

  • 30万円未満:「少額減価償却資産」として一括経費計上が可能。
  • 30万円以上:「固定資産」として、耐用年数に応じた減価償却が必要。

耐用年数(税務上の目安)

動物好きの皆様には「ペットに耐用年数!?」となるかもしれませんが、税務上、耐用年数はあります。

  • 魚類:2年
  • 鳥類:4年
  • その他(犬・猫など):8年

飼育・維持費

  • 餌代・日用品:消耗品費
  • 治療費・健診費用:修繕費、もしくは雑費
  • ペットシッター代や葬儀費用:雑費

細かな勘定科目の選定に迷った場合は、「雑費」としてまとめることも可能です。税務調査の際も、目的が明確であれば指摘を受けることは少なく、必要に応じて修正すれば問題ありません。

まとめ

ペットを事業に関係させることで、購入費や維持費を経費として計上することが可能になる場合があります。
ただし、事業との関係性を明確にし、適切な勘定科目で処理することが大切です。
事業に関係しなければ経費計上は否認されてしまいます。
税務対策としても有効に活用できる可能性がありますので、上手に仕組みを取り入れていきましょう。

投稿者プロフィール

木下博昭税理士事務所
木下博昭税理士事務所税理士/南九州税理士会 139642
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
何かご相談があればお気軽にどうぞ!

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