
中小企業向けの税制に関して、法人税の軽減税率と経営強化税制の見直し・延長が発表されました。
これにより、一定の優遇措置が継続される一方で、一部の企業には増税となる変更もあります。
本記事では、法人税の軽減税率の延長や経営強化税制の改正ポイントについて解説します。
中小企業の法人税の軽減税率の見直し
中小企業の法人税に関しては、年800万円以下の所得に適用される軽減税率の延長と、一部事業者に対する税率の引き上げが行われます。
要点をまとめると、以下の通りです。
- 年800万円以下の所得に対する法人税率15%の軽減措置(本則19%)の適用期限が2年延長される(令和9年(2027年)3月31日までの間に開始する事業年度まで適用)
- 所得が年10億円を超える事業年度について、法人税率が15%から17%に引き上げ
- グループ通算制度を適用する法人(通算法人)は軽減税率の対象から除外
この見直しにより、多くの中小企業では従来どおり法人税の軽減措置を受けられますが、一定規模以上の企業にとっては負担が増える点に注意が必要です。
改正後の法人税率についてまとめ
対象 | 年800万円超の所得 | 年800万円以下の所得 | |
大法人(資本金1億円超) | 23.2% | ||
中小法人 (資本金1億円以下) | 適用除外事業者・通算法人 | 23.2% | 19% |
上記以外 | 23.2% | 15% (所得10億円超になった年は17%) |
中小企業経営強化税制の見直し
経営力強化を目的とした「中小企業経営強化税制」についても、適用期限の延長と対象設備の見直しが行われます。
見直された点をまとめると、以下の通りです。
- 適用期限が2年延長(令和9年(2027年)3月31日まで適用)
- 設備投資に関するA類型・B類型の要件の見直しと、C類型(デジタル化設備)の廃止が決定
- 売上高100億円超を目指す中小企業向けに、B類型の税制優遇を拡大した「B類型拡張版」が新設
各類型の見直しポイント
類型 | 要件 | 対象設備 | |
A類型:生産性向上設備 | 生産性が旧モデル比平均 1%以上向上する設備 ※生産性:単位時間当たり生産量、歩留まり率、投入コスト削減率のいずれか | 暗号資産マイニング業の用に供する設備を除外 | |
B類型(従来):収益力強化設備 | 投資収益率年平均7%以上の投資計画に係る設備 (現行:年平均5%以上) | ||
D類型:経営資源集約化設備 | 修正 ROA 又は有形固定資産回転率が一定割合以上の投資計画に 係る設備 | ||
C類型:デジタル化設備 | 廃止 | ||
B類型(拡充):経営規模拡大設備 | ・投資利益率が年平均7%以上 ・売上高100億円超を目指すロードマップの作成 ・売上高成長率年平均10%以上を目指す 等 | 建物及びその附属設備(1,000万円以上)を追加 |
まとめ
今回の税制改正により、中小企業の法人税軽減措置は延長されるものの、一定の所得規模を超える企業では増税となります。
また、経営強化税制に関しては、投資収益率の要件が厳しくなる一方で、成長を目指す企業向けの優遇措置が拡充されます。
- 法人税の軽減税率(15%)は2027年3月31日まで延長
- 所得10億円超の企業は法人税率が17%に引き上げ
- 中小企業経営強化税制の適用期限が延長され、B類型の適用要件が厳格化
- 売上高100億円超を目指す企業向けにB類型拡張版が新設
各企業は、自社の事業規模や投資計画に応じて、適用できる税制をしっかりと確認し、最大限に活用することが重要です。
参考情報:
財務省「令和7年度税制改正の大綱の概要」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/07taikou_gaiyou.pdf
経済産業省「令和 7 年度(2025 年度)経済産業関係 税制改正について」
https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2025/pdf/03.pdf
他の方はこちらも読まれています
中小企業に関わる税制改正情報のポイントを解説!New!!
【最新変更点解説】キャッシュレス納付をチェック!
決算前に確認!少額減価償却資産の特例を活用するポイント
事務所サイト、開設しました

まずはお気軽にご相談ください
CONTACT
お電話でのお問い合わせ
096-285-9131
受付時間 9:00 〜 21:00(土日も対応)