個人事業主のお金の残し方を解説

「売上は3,000万円を超えたのに、通帳の残高は思ったほど増えない」「気づけば、いつも税金を払っている気がする」と、感じたことはないですか。

実は、「利益が出ていること」と「お金が手元に残ること」はまったく別物。大切なのは、売上を伸ばすことよりも、なぜお金が残らないのかを正しく知り、ムダに流れ出ているお金の蛇口を閉めることです。

この記事では、頑張っているのに報われない状態から抜け出し、手元にしっかりキャッシュを残すための考え方と具体的な方法をお伝えしますね。

この記事で分かること

  • お金がたまらない根本的な原因と、社長がよく勘違いしていること
  • お金の残し方
  • 貯金できない状況をすぐに改善できる方法

Q. 売上はあるのに、なぜ手元にお金が残らないのですか?

A. よくある勘違いは、お金を支払ったら経費になると考えていることが原因です。例えば、借金返済や生活費、所得税の支払などは経費になりません。毎月の収支を把握することで、将来の税金や手元に残るキャッシュの予想ができるのでおすすめですよ。

Q. まず何から手をつければお金は残りますか?

A. まずは青色申告特別控除や貯金できない状況を改善することです。固定費の見直しや税金用口座の作成など、まずは少しずつ改善しましょう。

Q. 法人化した方がお金は残るのでしょうか?

A. 年商3000万円規模であれば、法人化でお金が残る可能性が高いです。自分へ給料を払うことで給与所得控除が使えたり、消費税が免除される期間を活用できたりなど、個人にはない選択肢が増えるからです。

個人事業主のお金がたまらない理由とよくある勘違い

「利益は出ているはずなのに、なぜかお金がたまらない」と感じるのは、社長の経営センスが悪いからではありません。多くの社長がつまずく原因は、お金の仕組みをきちんと教わる機会がなかっただけです。

ここでは、社長がよく勘違いしていることについて解説します。

手元に残るお金が利益ではない

会計上の利益と、実際に自由に使える現金は同じではありません。決算書では黒字でも、売掛金がまだ入金されていなかったり、借入金の返済や税金の支払いが重なると、通帳の残高は思ったほど増えないですよね。

「利益が出ている=お金が増えている」という感覚のまま事業を続けていると、「こんなに働いているのに苦しい」というズレが生まれてしまいます。

貯金や借入金の返済は経費にならない

お金が残らない理由としてよく聞かれるのが、「返済や貯金で手元に残らない」という声です。借入金の返済や将来に備えた貯金は、経費にはなりません。利益は減らないのに、現金だけが確実に減っていく状態です。

その結果、利益が出ているのに税金は減らず、資金繰りだけが苦しくなるという状況が起こります。

入金されたときが売上のタイミングではない

社長が混乱しやすいポイントのひとつが、売上を計上するタイミングです。

会計では、実際にお金が入ってきた日ではなく、通常は仕事が完了した時点で売上です。例えば、12月に仕事が終わり入金が翌年1月だった場合でも、売上は12月分として扱われます。このような考え方を発生主義といいます。

税金の計算は、原則として発生主義による計算です。お金はまだ入金されていないのに支払だけ先に来ると感じる背景には、売上入金のズレがあります。

間違った節税で資金を減らしている

税金を減らしたい一心で、必要以上に経費を使ってしまうケースも少なくありません。例えば100万円の交際費を使って税金が30万円減ったとしても、実際には手元から70万円ほどの現金が減っています。

本来、節税はお金を守るための手段です。税金を減らすことだけに目を向けてしまうと、かえって資金を減らしてしまう結果になりかねませんよ。

どんぶり勘定で収支を錯覚している

忙しさを理由に、収支を大まかにしか把握していない状態ではないですか。どこでお金が減っているのか、いつ資金が足りなくなるのかが見えないままでは、正しい判断ができません。どんぶり勘定は、気づいたらお金がないという状況に陥ってしまいます。

もし今、少しでも不安を感じているなら、一度立ち止まり、第三者の視点で数字を整理してみましょう。

お金の流れを根本から見直したい方は、木下博昭税理士事務所にご相談ください。なぜお金が残らないのかを仕組みから丁寧に整理し、あなたの事業に合った改善策を一緒に考えさせて頂きます。

【守り重視】個人事業主のお金の残し方

お金を残すためにまず見直したいのが、今あるお金をどう守るかです。個人事業主の場合、国の仕組みを正しく使うだけで、手元に残るお金は変わります。

ここでは、個人事業主のお金の残し方について解説します。

最大65万円の青色申告特別控除を活用する

お金を残すうえで、まず確実に押さえたいのが青色申告特別控除です。一定の条件を満たすことで、最大65万円を所得から差し引くことができます。例えば税率30%であれば、青色申告特別控除を活用することで、約20万円ほどの税金が減ります。

青色申告特別控除は、経費を無理に増やす必要がなく、帳簿をきちんと付けるだけで税金を減らせる制度です。売上や利益が増えてきた個人事業主ほど、青色申告特別控除の効果はあります。

白色申告のままだったり、青色申告だけど簡易的に処理していたりしていませんか。青色申告特別控除を利用できるよう見直すだけでも、毎年の税負担が軽くなる可能性がありますよ。

家族に給料を支払う

家族に仕事を手伝ってもらっている場合、青色事業専従者給与の届出をして家族の労働に対して給料を支払うことで、事業の経費として計上できます。

ポイントは、実際に働いていることや仕事内容に見合った金額であることなどです。名義だけの給与や、明らかに不自然な金額は認められませんが、実態が伴っていれば問題ありません。

青色事業専従者給与の制度を使うことで、事業の利益を家族に分散し、結果的に世帯全体での税負担を抑えることができます。

ただし、配偶者控除や扶養控除が適用できなくなるため、給料の金額には注意しましょう。給料の金額が年間38万円未満であれば、配偶者控除や扶養控除の方が税負担が減る可能性があります。

参考:国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除

プライベートと事業で共有している経費は家事按分する

自宅兼事務所で仕事をしている場合や、仕事とプライベートで同じ設備を使っている場合などは、費用の一部を事業経費として計上できます。これを家事按分といいます。

例えば、自宅の家賃や電気代、インターネット代、車のガソリン代や保険料などは、事業で使っている割合に応じて経費にすることが可能です。重要なのは、何となくではなく、家賃なら家全体に対する作業部屋の面積割合、ガソリン代なら事業利用割合など、自分なりの基準を決めて説明できることです。

正しく家事按分を行えば、無理な節税をせずとも、課税所得を下げることができます。

【将来の自分への投資】個人事業主のお金の残し方

お金を残すというと、今すぐの節税効果に目が向きがちですが、本当に大切なのは将来の自分を守る仕組みを作っておくことです。

個人事業主は、会社員のように退職金や手厚い年金が用意されていません。その分、自分で準備できる制度を知っているかどうかで、将来の安心感が大きく変わります。

ここでは、将来の投資となるお金の残し方について解説します。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主や小規模法人の経営者向けに用意されている、経営者のための退職金制度です。毎月積み立てた掛金は、全額が所得控除の対象になります。将来のためにお金を積み立てながら、今の税金も減らせる仕組みです。

事業をやめたときや引退したときには、積み立てたお金を共済金として受け取ることができます。長く続けるほど効果が大きく、老後資金の土台として活用しやすい制度ですよ。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、自分で積み立てて自分で運用する年金制度です。

個人事業主は、iDeCoの毎月の掛金上限が比較的高く設定されており、老後資金づくりに向いています。小規模企業共済と同様に、掛金が全額所得控除です。運用中の利益にも税金がかからず、受け取るときも税制上の優遇があります。

ただし、原則として60歳まで引き出せないため、将来専用のお金と割り切って使うことが前提です。老後の安心を作るための選択肢として考えるとよいでしょう。

経営セーフティ共済(倒産防止共済)

経営セーフティ共済は、取引先が倒産したときに備えるための制度です。万一、主要な取引先が倒産し、売掛金が回収できなくなった場合でも、共済から無担保・無保証で借入ができる仕組みになっています。

掛金は、一定の上限まで全額が経費として計上できます。つまり、万が一に備えながら、今の税負担を軽くすることが可能です。

解約すれば積み立てた掛金が戻ってくるため、いざというときの資金置き場として活用する社長も少なくありません。資金繰りの不安を減らすという意味で、将来への投資と言える制度です。

なぜ法人化するとお金が残ると言われるのか?

法人化が節税に効果があると聞いたことはないですか。法人化しても、必ずしもお金が増えるという意味ではありません。

個人は、通常は事業の利益も本業以外の利益もまとめて税金を計算します。売上が増えれば増えるほど税率も上がり、頑張った分だけ税金も増えるという構造から逃れにくくなります。

ここからは、法人化するとお金が残ると言われる理由を具体的な制度を通して見ていきましょう。

給与所得控除を活用できるから

法人化すると、社長に役員報酬として給料を支払うことができます。給与には、事業所得にはない給与所得控除があります。

給与所得控除は、実際にお金を使っていなくても、自動的に差し引かれる控除です。同じ金額を受け取っていても、個人事業主より法人の社長のほうが、税金計算上は有利になる可能性がありますよ。

出張手当を受け取れるから

法人では、出張時に、出張手当(日当)を支給することができます。出張手当は、法人側では経費ですが、受け取る個人側では一定条件のもと非課税扱いになります。言い換えると、会社から出張手当を受け取っても、個人の税金に影響しません。

同じ移動や仕事をしていても、個人事業では自己負担で、法人ではルールに沿った手当

という違いが生まれます。このような小さな積み重ねが、年間で見ると手元に残るお金の差につながっていきますよ。

消費税が最大2年間免除される可能性があるから

法人を新たに設立し条件を満たせば、最大2年間は消費税の納税義務が免除される可能性があります。消費税の納税が始まるタイミングで法人化すると、消費税の納税を時的に抑えられるケースがあります。

ただし、インボイス制度や設立時期、売上規模などによって結果は変わります。必ず得になるわけではないため、税理士などの専門家に事前に相談しましょうね。

法人化は、節税テクニックではなく、事業のステージが変わったときの選択肢です。売上が増え責任も大きくなってきた今こそ、このまま個人で走り続けるのか、法人を変えるのかを考えるタイミングかもしれません。

法人化に迷ったときは、木下博昭税理士事務所にご相談ください。あなたの事業にとって最適な形を、数字をもとにサポートさせて頂きます。

関連記事:個人事業主が法人化して節税できるケースは?税金と手取りをシミュレーション

【貯金できない状況を改善】すぐにできるお金を残すための習慣

「もっと稼がないとお金は残らない」と思われがちですが、実際にはお金が残るかどうかは日々の習慣で決まると言えます。特別な知識や高度な節税をしなくても、考え方と行動を少し変えるだけで、資金繰りは安定します。例えば以下です。

  • 税金用口座を作り資金を移動する
  • 今の収支を把握できるようにする
  • 固定費の見直しをする
  • 領収書はその日のうちに整理する
  • 税理士を経営パートナーとして活用する

ここでは、今日からでも無理なく取り入れられるお金を残すための習慣を紹介します。

税金用口座を作り資金を移動する

貯金ができない社長に共通するのが、税金分のお金を生活費と一緒に使ってしまうケースです。「税金の支払いがあるのにお金がない」そのようにならないためには、税金専用の口座を作ることが効果的です。

売上が入ったら、あらかじめ決めた割合を税金用口座に移動しておきましょう。例えば、売上の10%相当を税金用口座に資金移動することで、消費税の納税資金を確保できます。

「使っていいお金」と「触ってはいけないお金」が視覚的に分かり、資金管理が一気に楽になります。税金の支払い時期になって慌てることもなくなり、精神的な余裕も生まれますよ。

今の収支を把握できるようにする

お金が残らない原因の多くは、今の収支が分からないことです。細かい分析をする必要はありません。まずは、売上・経費・手元に残るお金の流れが見える状態を作ることが大切です。

会計ソフトや簡単な表でも構いません。「なんとなく黒字」から「数字で分かる黒字」に変えるだけで、無駄な支出や改善ポイントが自然と見えてきます。

固定費の見直しをする

毎月必ず出ていく固定費は、一度見直すだけで効果が続きます。売上を増やす努力をする前に、今払っているお金が本当に必要かを見直すだけで、何もしなくても手元に残るお金が増えるケースはあります。

固定費の見直しは、もっとも確実で即効性のある改善策でしょう。

領収書はその日のうちに整理する

領収書を溜め込むほど、帳簿の作成から目を背けたくなりますよね。一方、その日のうちに整理する習慣がつくと、お金の流れを自然に意識できるようになりますよ。

だからと言って、完璧にやる必要はありません。スマホで撮るとか、箱に日付順で入れるなど、自分に合った方法で十分です。日々の小さな積み重ねが、どんぶり勘定から抜け出す第一歩になります。

税理士を経営パートナーとして活用する

税理士は、申告のためだけの存在ではありません。数字をもとに、なぜお金が残らないのか、どうすれば改善できるのかを一緒に考えてくれる経営パートナーです。

一人で悩み続けるより、第三者の視点を入れることで、思い込みや見落としに気づけます。

特に、売上が伸びてきたタイミングや、将来に不安を感じ始めたときこそ、相談するとよいでしょう。

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まとめ

個人事業主として一生懸命働いているのに、お金が残らないと感じるのは、決して社長の責任だけではありません。そのように感じる原因の多くは、努力不足ではなく、お金の仕組みを知らないまま走り続けてしまっていることにあります。

大切なのは、何となくではなく、今の状況を数字で整理し、自分に合った形を選ぶことです。一人で抱え込まず、第三者の視点を入れることで、これまで見えなかった改善点が見えてくることもありますよ。

もし今、このままで大丈夫だろうか、もっとお金を残せる方法があるのではと感じているなら、私たち木下博昭税理士事務所にご相談ください。

なぜお金が残らないのかを仕組みから整理し、将来を見据えた最適な選択を数字をもとに一緒に考えてさせて頂きます。

投稿者プロフィール

木下博昭
木下博昭税理士/南九州税理士会 139642
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
何かご相談があればお気軽にどうぞ!

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