
夫婦それぞれが個人事業主の場合、お互い力を合わせて事業を成長させることができます。しかし、「2人とも個人事業主のままでいいのだろうか」「もしどちらかが倒れて働けなくなったらどうしよう」と、不安に感じることもありますよね。
夫婦別々で個人事業主を続けると、社会保険料の負担増や経理と確定申告の手間が増えるなどのデメリットがあります。夫婦経営を成功させるためには、事業の将来とライフスタイルの変化を話し合うなどが大切です。
この記事では、夫婦別々で個人事業主を続けるデメリットや事業形態を見直すタイミングについて解説します。
この記事で分かること
- 夫婦別々で個人事業主を続けるデメリット
- 夫婦が手取りを増やす3つの選択肢
- 夫婦経営を成功させるために今すぐできること
Q. 夫婦それぞれで個人事業主を続けると、損しますか?
A. 税金や社会保険料の負担が分散されず、世帯全体での負担が重くなる恐れがあります。また、経理や確定申告の手間がそれぞれに発生するため、時間的な負担も増えます。
今の働き方に疑問を感じる場合、将来の事業やライフスタイルによって、法人化などを選択することが重要です。
Q. どちらかの事業に一本化して、給料を払う形にしたほうが手元にお金は残りますか?
A. ケースによって異なります。例えば、どちらかの事業がマイナスの場合は事業を一本化した方が、家族全体の手取りは増えるでしょう。
まずは、夫婦全体の手取りを正確に把握することから始めてみましょう。
Q. 法人成りすると、手取りが増えますか?
A. 売上規模や利益水準によっては、法人化することで節税の選択肢が広がり、手取りを増やせる可能性があります。特に社会保険や役員報酬の設計によって、世帯全体での負担を最適化できます。
ただし、すべてのケースで有利になるわけではないため、事前のシミュレーションが重要です。夫婦の法人成りシミュレーションについては、お気軽にお問い合わせください。
- 0.1.1. この記事で分かること
- 1. 夫婦別々で個人事業主を続けるデメリット
- 1.1. 社会保険料の負担が大きい
- 1.2. 経理と確定申告の手間が増える
- 1.3. 経費の家事按分が複雑になる
- 1.4. どちらかが働けなくなった時の負担が大きい
- 2. 個人事業主の夫婦が手取りを増やす3つの選択肢
- 2.1. 選択肢①:夫婦それぞれが節税対策をする
- 2.2. 選択肢②:事業を一本化して給料を支払う
- 2.3. 選択肢③:法人を設立する
- 3. マイクロ法人が個人事業主夫婦のデメリットを解決する理由
- 3.1. 社会保険料を抑えることができるから
- 3.2. 国民年金から厚生年金に切り替わるから
- 3.3. どちらかが働けなくなってもカバーできるから
- 4. 夫婦の事業形態を見直すタイミング
- 4.1. どちらかの課税売上高が1,000万円を超えたとき
- 4.2. ライフステージが変化するとき
- 4.3. どちらかの事業がマイナスになったとき
- 5. 夫婦経営を成功させるために今すぐできること
- 5.1. 夫婦全体の手取りを正確に把握する
- 5.2. 事業の将来とライフスタイルの変化を話し合う
- 5.3. 税理士に詳細なシミュレーションをしてもらう
- 6. まとめ
夫婦別々で個人事業主を続けるデメリット
夫婦別々で個人事業主として活動していると、自由度が高くバランスよく働けているように感じますよね。しかし実際には、税金や社会保険、事務作業など、見えにくい負担が積み重なっているケースも少なくありません。
ここでは、夫婦別々で個人事業主を続けることで起こりやすいデメリットを見ていきましょう。
社会保険料の負担が大きい
個人事業主の社会保険料は全額個人の負担です。特に国民健康保険は、所得などに応じて保険料も上がるため、2人分の負担がそのまま家計に重くのしかかる形です。
また、個人事業主のままでは厚生年金に加入できないため、将来受け取れる年金額にも差が出る恐れがあります。目の前の手取りだけでなく将来の安心まで考えると、社会保険の仕組みは見直す価値があるでしょう。
経理と確定申告の手間が増える
夫婦で個人事業主の場合、経理作業や確定申告もそれぞれが行う必要があります。売上や経費の入力、領収書の整理など、一人分の確定申告に比べて単純に手間は倍です。
期限に追われて慌てて処理すると、ミスや漏れが発生するリスクも高まります。事務作業に追われると売上を伸ばす時間が減るため、長期的に見ると機会損失につながります。
経費の家事按分が複雑になる
夫婦それぞれが自宅を事務所として使っている場合、家賃や光熱費、通信費などを経費計上できます。しかし、夫婦それぞれが事業をしていると、どちらの経費にどれだけ入れるのかという配分が複雑です。
例えば、同じ部屋で仕事をしている場合でも、使用割合を明確に分けるのは難しく、曖昧なまま処理してしまうケースもあります。この状態は、税務上の説明がしづらくなる原因にもなります。
また、経費の取り方によっては、どちらかに偏りが出てしまい、結果として税負担に差が生まれることもあります。ルールが曖昧なまま進めると、後から見直しが必要になる可能性もあるため注意が必要です。
どちらかが働けなくなった時の負担が大きい
夫婦で別々に事業をしている場合、それぞれの収入は基本的に独立しています。どちらかが体調不良や家庭の事情で働けなくなった場合、その分の収入はそのまま減ってしまいます。
事業内容が完全に分かれていると、もう一方が仕事を引き継ぐことも難しく、カバーしたくてもできないという状況になりがちです。結果として、収入減と精神的な負担が同時にのしかかる恐れがあります。
安定して事業を続けるためには、もしもの時にどう支え合えるかという視点も大切です。収入の形や事業の関係性を見直すことで、リスクを分散できます。
個人事業主の夫婦が手取りを増やす3つの選択肢
個人事業主の夫婦でも、働き方や事業の形を少し見直すだけで、世帯全体の手取りを増やせる可能性があります。
ここでは、個人事業主の夫婦が手取りを増やす3つの選択肢についてお伝えします。
選択肢①:夫婦それぞれが節税対策をする
現在の形を変えずに手取りを増やしたい場合、それぞれが節税対策をする方法があります。例えば、経費の計上漏れの確認や青色申告特別控除、小規模企業共済の活用などです。
ただし、この方法は、今の仕組みの中で最適化する考え方のため、手取りが変わるケースは限られます。すでにある程度対策をしている場合は、次のステップとして働き方自体を見直すことも検討する必要があります。
選択肢②:事業を一本化して給料を支払う
事業をどちらかに一本化し、もう一方に給与を支払う形にすることで、世帯全体の税負担を抑えられる可能性があります。個人事業主の場合、「青色事業専従者給与」という制度を使うことで、家族に支払った給与を必要経費として計上できるからです。
ただし、給与額には適正な基準があり、自由に設定できるわけではありません。また、事業の実態として働いていることが前提となります。制度の理解が不十分なまま進めると、否認リスクもあるため、事前に確認しておくことが大切です。
参考:国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除」
選択肢③:法人を設立する
売上や利益が一定以上ある場合は、法人を設立することで手取りを増やせる可能性があります。
法人化すると、役員報酬として給与を分けたり、経費の幅が広がったりするため、個人事業主よりも柔軟な節税設計が可能です。また、社会保険に加入することで、将来の年金や保障面でも安心感が高まります。
一方で、法人には維持コストや事務負担が発生するため、法人化すれば必ず得をするというわけではありません。売上規模や利益、今後の事業計画によって向き不向きがあるため、事前にシミュレーションを行うことが重要です。
夫婦で事業をしている場合、どの選択肢が最適かは状況によって変わります。なんとなく今のままではなく、一度整理することで、手取りも将来の安心も大きく変わる可能性があります。
熊本で、夫婦での働き方や法人化のタイミングについて具体的に相談したい方は、木下博昭税理士事務所へぜひご相談ください。お二人の状況に合わせて、無理のない形で手取りを最大化する方法をご提案いたします。
マイクロ法人が個人事業主夫婦のデメリットを解決する理由
個人事業主夫婦のデメリットを解決する選択肢の一つになるのが、マイクロ法人の設立です。夫婦で会社を作り役割を分けることで、税金や社会保険の仕組みを活かした設計ができるようになります。
ここでは、マイクロ法人が個人事業主夫婦のデメリットを解決する理由を見ていきましょう。
社会保険料を抑えることができるから
マイクロ法人を活用するメリットの一つが、社会保険料を抑えることができるからです。
個人事業主の場合、国民健康保険は前年の所得に応じて保険料が決まるため、利益が増えるほど負担も重くなります。一方、法人の場合は、役員報酬(給料)の金額に応じて社会保険料が決まる仕組みです。
つまり、報酬額を適切に設計することで、保険料をある程度コントロールすることが可能です。配偶者を扶養に入れることで、世帯全体の保険料負担を抑えられるケースもあります。
ただし、扶養に入れるためには年収や働き方などの条件があるため、バランスを見ながら設計することが重要です。単純に給料を下げればいいわけではなく、手取りと保障の両方を考えた調整がポイントになります。
国民年金から厚生年金に切り替わるから
国民年金は一律の金額で、将来受け取れる年金も比較的少なめです。一方、厚生年金は給与に応じて保険料を支払う仕組みで、その分将来受け取れる年金額も増える傾向にあります。
さらに、厚生年金には遺族年金や障害年金といった保障も含まれており、万が一の際の安心感が変わります。
目先の負担だけを見ると国民年金のほうが軽く感じることもありますが、将来の生活を見据えたとき、厚生年金の方がメリットがあるケースも少なくありません。
どちらかが働けなくなってもカバーできるから
法人として一つの事業にまとめておくと、業務の共有や役割分担がしやすくなります。どちらかが体調を崩した場合でも、もう一方がカバーしやすく、事業自体を止めずに続けられる可能性が高まります。
法人として契約していることで、取引先との関係も安定しやすく、個人に依存しすぎない体制を作れる点もメリットです。
事業を長く続けていくためには、どちらか一人に依存しない仕組みを作ることが重要です。マイクロ法人は、そのための有効な手段の一つといえるでしょう。
夫婦の事業形態を見直すタイミング
夫婦別々で個人事業主を続けていると、今のままでいいのかと考えながらも、忙しさの中でそのままにしてしまうことは少なくありません。しかし、事業の成長やライフスタイルの変化によって、これまでのやり方が合わなくなるタイミングは訪れます。
具体的には、主に以下が事業形態を見直すタイミングです。
- どちらかの課税売上高が1,000万円を超えたとき
- ライフステージが変化するとき
- どちらかの事業がマイナスになったとき
ここでは、夫婦の事業形態を見直すタイミングについて解説します。
どちらかの課税売上高が1,000万円を超えたとき
課税売上高が1,000万円を超えると、原則として翌々年は消費税の納税義務が発生します。しかし、法人成りすることで、最大2年間は消費税の納税義務が免除される可能性があります。
売上が伸びてきたときこそ、事業形態を見直す重要なタイミングと言えるでしょう。
消費税の仕組みや具体的な負担額は、収入や経費の状況によって変わります。「実際いくらくらい払うことになるのか」「どうすれば負担を軽くできるのか」を知りたい方は、以下の記事でわかりやすく解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。
関連記事:個人事業主の収入1000万円の消費税はいくら払う?負担を軽くする方法
参考:国税庁「納税義務の免除」
ライフステージが変化するとき
結婚・出産・子育て・住宅購入など、ライフステージの変化は働き方を見直すきっかけになります。これまでと同じ働き方が難しくなったり、収入の安定性をより重視したくなったりする場面も増えるでしょう。
例えば、どちらかが育児で仕事量を減らす場合、収入バランスが崩れることがあります。また、教育費や住宅ローンなどの支出が増えると、将来に向けた資金計画も重要です。
ライフスタイルの変化に合わせて、事業の形や収入の分け方を見直すことで、無理のない働き方と安定した家計を両立しやすくなります。事業形態は一度決めたら終わりではなく、生活の変化に合わせて柔軟に見直していくことが大切です。
どちらかの事業がマイナスになったとき
夫婦それぞれが個人事業主の場合、片方が赤字になっても、もう一方の黒字と相殺することはできません。そのため、世帯全体ではプラスでも、税金は黒字の事業に対してそのまま課税されてしまいます。
法人であれば、同じ会社内の利益と損失を相殺できるため、全体としての税負担を抑えられる可能性があります。また、赤字の原因を一緒に分析し、改善していく体制も作りやすくなるため、経営の安定にもつながります。
一方がうまくいっていない状態を放置するのではなく、全体でどうカバーするかを考えることが、長く事業を続けるポイントです。
夫婦経営を成功させるために今すぐできること
夫婦で事業をしている場合、なんとなくうまくいっているからこのままでいいと感じている方も多いかもしれません。しかし、手取りや将来の安心は、日々の積み重ねと少しの見直しで変わります。
ここでは、夫婦経営を成功させるために今すぐできることを紹介します。
夫婦全体の手取りを正確に把握する
まず最初に取り組みたいのが、夫婦全体の手取りを正確に把握することです。
個人事業主の場合、売上や利益は把握していても、税金や社会保険料を差し引いた後の実際の手取りを把握できていないケースが多くあります。さらに、夫婦それぞれで管理していると、世帯全体での数字が見えにくくなりがちです。
例えば、どちらかは利益が出ていても、もう一方の負担が大きく、結果として思ったほどお金が残っていないこともあります。
年間の売上・経費・税金・社会保険料を整理し、最終的にいくら残っているのかを見える化することが重要です。ここが分からないままでは、正しい判断はできません。
事業の将来とライフスタイルの変化を話し合う
次に大切なのが、夫婦で将来についてしっかり話し合うことです。事業の方向性や目標だけでなく、「どのくらい働きたいか」「どんな生活を送りたいか」といったライフスタイルの希望も含めて整理することが重要です。
例えば、子育てや介護、住宅購入など、今後のライフイベントによって働き方や収入のバランスは変わります。その変化を見越しておかないと、後から無理が生じる可能性があります。
夫婦で目指す方向がズレていると、事業の形も最適なものになりません。逆に、将来像が共有できていれば、一本化や法人化といった判断もスムーズに行えるようになります。
税理士に詳細なシミュレーションをしてもらう
最後に重要なのが、専門家によるシミュレーションです。事業の一本化や法人化は、なんとなく良さそうで判断すると、かえって負担が増えてしまうこともあります。税金や社会保険は仕組みが複雑で、少しの違いで結果が変わるためです。
税理士に相談すれば、現在の収入や家族構成をもとに、「今のままの場合」「一本化した場合」「法人化した場合」など、複数のパターンで手取りを比較できます。数字で比較することで、自分たちにとって最も有利な選択肢が明確になります。感覚ではなく、根拠のある判断ができることが最大のメリットです。
法人化によってどれくらい手取りが変わるのかは、収入や家族構成によって異なります。具体的な金額イメージや判断基準を知りたい方は、以下の記事でわかりやすくシミュレーションしていますので、ぜひあわせてご覧ください。
まとめ
夫婦で個人事業主として働くことは自由度が高い一方で、社会保険料の負担や税金、将来のリスクなど、見えにくい課題も多くあります。
しかし、事業の一本化や法人化といった選択肢を知り、適切なタイミングで見直すことで、世帯全体の手取りや安心感は大きく変わります。大切なのは、感覚ではなく数字に基づいて判断することです。
もし、自分たちの場合はどうすればいいのかと迷っている方は、木下博昭税理士事務所へぜひご相談ください。お二人の状況に合わせて、無理のない最適な形をご提案いたします。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
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熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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