
副業の収入が増えて安定すると、「一人だけの会社」を作るか迷いますよね。そろそろ法人化しないと税金が高くなりそうだと焦る反面、設立手続きや社会保険など、面倒な作業は避けたいと感じていませんか。
この記事では、面倒な事務作業を減らしつつ一人で会社を作るメリットについて解説します。
この記事で分かること
- 副業会社員が一人で会社を作るメリットとデメリット
- 個人事業主と法人の違い
- 面倒な事務作業から解放される業務効率化のコツ
Q. 一人で会社を作りたいけど、人を雇わなくても大丈夫ですか?
A. はい、問題ありません。社長一人のみの会社を設立し、誰にも気を使わずに運営していくことは可能です。人間関係のストレスを感じることなく、自分のペースで事業に集中できますよ。
Q. そろそろ法人化しないと税金で損しそうだけど、一人で会社を作ると本当に得になりますか?
A. 利益の額によりますが、本業と副業を合わせた所得が大きくなってきているなら、法人化によって手元に残るお金が増える可能性が高いです。家賃などを経費にできる範囲も広がるため、大きな効果が期待できます。
Q. 設立手続きや社会保険とか、面倒くさいことは自分でやらなきゃダメですか?
A. 自分でやる必要はありません。税理士などの専門家に依頼すれば、面倒な書類作成や役所とのやり取りを丸投げできます。有給を使って平日に休むことなく、スムーズに会社を作れますよ。
- 0.1.1. この記事で分かること
- 1. 副業会社員が一人で会社を作るメリット
- 2. 経費計上できる範囲が広がる
- 2.1. 有限責任になる
- 2.2. 赤字の繰越が最長10年間になる
- 2.3. 本業の繁忙期を回避した決算月にできる
- 2.4. 配偶者への報酬支払いにより所得を分散できる
- 3. 副業会社員が一人で会社を作るデメリットと注意点
- 3.1. 社会保険が原因で本業の会社にバレるリスクがある
- 3.2. 初期費用がかかる
- 3.3. 個人と会社のお金を明確に区分する必要がある
- 4. 一人で作るなら株式会社と合同会社はどっちがいい?副業との違い
- 4.1. 株式会社が向いているケース:家族への事業承継を考えている
- 4.2. 合同会社が向いているケース:設立費用を抑えたい
- 4.3. 違い1:赤字でも給与所得と相殺できない
- 4.4. 違い2:ランニングコストがかかる
- 4.5. 違い3:社会的信用度が高くなる
- 5. 一人社長が抱えるストレスと業務効率化の解決策
- 5.1. 社内に相談できる人がいない
- 5.2. 請求書発行から振込確認まで事務作業の手間がかかる
- 5.3. 解決策1:クラウド会計ソフトを導入する
- 5.4. 解決策2:AIやオンラインアシスタントを活用する
- 5.5. 解決策3:やらないことを決める
- 6. 副業会社員が税理士を味方につけるメリット
- 6.1. 記帳代行や決算の負担が大幅に減る
- 6.2. 税務調査時に立会いを依頼できる
- 6.3. 気軽に相談できるパートナーになる
- 7. まとめ
副業会社員が一人で会社を作るメリット
独立を視野に入れた会社員にとって、法人化は単なる見栄ではなく、手元に現金を残すための防衛策です。「まだ早いのでは」とためらう間に、本来払わなくていい税金を国に納め続けているかもしれません。
ここでは、一人で会社を作るメリットについて解説します。
経費計上できる範囲が広がる
会社を作るメリットの一つは、経費計上できる範囲が広がることです。例えば社宅や出張の日当などです。
会社が賃貸契約を結んで社長であるあなたに社宅として貸し出す仕組みを作れば、家賃の約半分を経費に計上できます。出張手当も会社規定通りに支給すれば、会社は経費になり、受け取る個人は非課税になります。
個人のままでは事業用スペースの床面積分しか経費にできません。
しかし、法人であれば社宅や日当を活用することで、年間数百万円の経費を計上することも可能です。手元にお金を残したいなら、社宅制度や出張手当などを活用できる法人化が圧倒的に有利と言えます。
まずは現状の家賃がどれだけ経費化できるか計算してみましょう。
参考:国税庁「役員に社宅などを貸したとき」
有限責任になる
会社で万が一のトラブルが起きても、個人の財産まで失うリスクを切り離せるのが法人です。株式会社や合同会社は有限責任と呼ばれ、事業で借金を背負っても、原則として出資した資本金の額までしか責任を負いません。
例えば、仕入先とのトラブルで数百万円の違約金を請求されたとします。個人のままなら自分の貯金や自宅を売ってでも払う必要がありますが、法人なら会社の財産以上の支払いは免除されます。
ただし、銀行融資の際に社長個人が連帯保証人(個人保証)になっている場合は例外です。副業とはいえリスクを伴うビジネスをするなら、自分の生活を守る対策として法人設立は効果的です。
赤字の繰越が最長10年間になる
事業で赤字が出た場合、法人であれば赤字を最長10年間繰り越して将来の黒字と相殺できます。個人事業主(青色申告)でも繰越は可能ですが、期間はたったの3年しかありません。
例えば、数千万円規模の設備投資をするとします。設備投資をした年は、様々な諸費用がかかり、赤字になるケースは珍しくありません。個人なら3年以内に回収しないと赤字が消滅してしまいますが、法人なら10年の猶予があります。
じっくりと時間をかけてビジネスを育てたいと考えているなら、10年間の猶予がある法人をフル活用しましょう。
参考:国税庁「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」
本業の繁忙期を回避した決算月にできる
法人は、会社を設立する時に決算月を自由に決めることができます。個人の確定申告は、毎年2月16日から3月15日までが期限です。その期間、本業が繁忙期であれば、睡眠時間を削って税金計算に追われることもありますよね。
しかし、法人を作って決算月を本業が落ち着いている月に設定すれば、時間的にも精神的にも余裕を持って決算作業に向き合えます。本業と副業を両立させるためには、自分のライフスタイルに合わせて決算期をコントロールできる法人は魅力ですよね。
配偶者への報酬支払いにより所得を分散できる
法人を作れば、配偶者を役員にして給与を支払うことで世帯全体の税負担を下げることができます。日本の所得税は稼げば稼ぐほど税率が上がる累進課税です。社長一人の給料として1,000万円を受け取るより、社長と配偶者で500万円ずつ分けた方が税率が下がり、家族全体の手取りが増えます。
個人でも、青色事業専従者給与を活用すると、配偶者に報酬を支払うことができます。しかし、配偶者控除が使えなくなるため注意が必要です。
参考:国税庁「青色事業専従者給与と事業専従者控除」
副業会社員が一人で会社を作るデメリットと注意点
ネット上の「法人化すればお得」という甘い言葉を鵜呑みにして勢いで会社を作ると、見えないコストやルールの壁にぶつかり後悔します。
ここでは、一人で会社を作るまえに知っておくべきデメリットと注意点について解説します。
社会保険が原因で本業の会社にバレるリスクがある
法人から役員報酬を受け取ると社会保険への加入義務が発生し、それがきっかけで本業の会社に副業がバレる危険性があります。本業でも社会保険に入っている場合、「二以上事業所勤務届」という書類を年金事務所に提出しなければならず、そこから本業の会社へ通知がいってしまう仕組みだからです。
本業に絶対に知られたくないのであれば、役員報酬をゼロにするなど事前の設計が不可欠です。具体的なケースと対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
初期費用がかかる
会社を作るには、どうしてもまとまった設立費用がかかります。個人事業主なら無料でも開業できますが、株式会社なら約25万円、合同会社でも約10万円の法定費用が必要です。さらに印鑑作成や専門家への報酬もかかります。
専門家への報酬を節約して自分で会社を作ると、法務局で何度も書き直しを命じられ、結果的に有給を3日も消化するケースもあります。設立費用は必ずかかる事業への投資と割り切った上で、専門家に任せて自分の時間を守る選択をすることが重要です。
会社設立費用の目安については、以下の記事で詳しく解説しています。
個人と会社のお金を明確に区分する必要がある
法人化すると、会社で稼いだお金を社長個人の生活費として自由に引き出すことはできなくなります。会社と社長は法律上は別人格として扱われるため、会社のお金を個人的に使えば社長への貸付金や横領とみなされ、税務署から厳しく指摘されます。
お金の管理をきっちり分ける自信がない、あるいは利益をそのまま自由に使いたいなら法人化は見送るべきです。判断に迷ったら、まずは専門家に相談することをおすすめします。
木下博昭税理士事務所では、社長に合った最適な事業形態をご提案させていただきます。法人化のタイミングや法人化すべきかなど、ささいな内容でも問題ありません。まずはお気軽に、無料相談をご活用ください。
一人で作るなら株式会社と合同会社はどっちがいい?副業との違い
会社を作る決心をしたら、次に悩むのが事業形態です。一般的には、株式会社と合同会社が選ばれますが、どっちがいいか迷いますよね。また、今まで通りの副業(個人事業主)との違いも正確に理解しておかなければ、設立後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する恐れがあります。
株式会社が向いているケース:家族への事業承継を考えている
将来的に事業を大きくして、子供や配偶者に会社を引き継がせたいなら株式会社が向いています。株式会社は株式という形で会社の所有権を細かく分けられるため、株式を譲渡するだけでスムーズに経営権を引き継ぐことが可能です。
目先の設立費用だけでなく、10年後、20年後の会社の未来を想像して会社形態を選ぶことが大切です。
合同会社が向いているケース:設立費用を抑えたい
とにかく初期費用を安く済ませて、自分一人のペースで事業を進めたいなら合同会社が向いています。公証人の定款認証が不要で登録免許税も最低6万円で済むため、設立費用を10万円以下に抑えられるでしょう。
BtoBのシステム開発を一人で請け負うエンジニアのように、取引先が会社名や肩書きなどを気にしない業種であれば、合同会社のコストパフォーマンスは魅力的と言えます。
違い1:赤字でも給与所得と相殺できない
法人が赤字になっても本業の給与所得と相殺して、所得税の還付を受けることはできません。
個人の場合、副業の事業所得で赤字が出れば「損益通算」という仕組みを使って本業の給与所得と相殺し、税金の還付を受けることができます。しかし、法人の赤字は社長個人の給与とは完全に切り離されます。
赤字が続くことが予想される場合は、個人事業主を継続する方が賢い選択です。
参考:国税庁「損益通算」
違い2:ランニングコストがかかる
法人は個人事業主よりもランニングコストがかかる傾向です。具体的には、均等割や社会保険料、税理士報酬などです。年間の固定費を支払っても本当に手元にお金が残るのか、設立前に詳細なシミュレーションをしましょう。
合同会社のランニングコストについては、以下の記事で詳しく解説しています。
違い3:社会的信用度が高くなる
個人事業主は実態が見えにくいと警戒されがちですが、法人は法務局に登記され誰でも存在を確認できるため、個人に比べて社会的信用度が高くなります。大手企業など、取引先によっては個人との取引が断られるケースも珍しくありません。
法人設立と会社員副業の手取りの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
一人社長が抱えるストレスと業務効率化の解決策
一人社長は社内の人間関係のストレスからは解放されます。しかし、一人であるが故に抱えるストレスもあります。
ここでは、一人社長が抱えるストレスと業務効率化の解決策について解説します。
社内に相談できる人がいない
一人で会社をやっていると、重大な決断から日々の些細な迷いまで、すべてを自分一人で抱え込むストレスに悩まされることがあります。上司も同僚もいないため、「このやり方で大丈夫か」という不安を誰とも共有できません。
一人だからと言って、すべてを一人で抱え込む必要はありません。外部の税理士や専門家など、利害関係なしに本音で話せる相談相手がいると安心です。
請求書発行から振込確認まで事務作業の手間がかかる
一人の会社は気が楽ですが、取引先が増えると事務作業に時間を奪われます。例えば、月末の請求書の作成や入金チェックなどです。副業の時間は限られているため、事務作業に時間を奪われると、仕事の進捗や売上にも影響します。
週末はリフレッシュするはずが、未処理の領収書の山を前にして1日中パソコンと睨めっこし、家族との時間を犠牲にしたくないですよね。
ストレスなく事業を続けるには、事務作業をいかに手放すかが最大の鍵です。まずは日々のルーティン業務を洗い出してみましょう。
解決策1:クラウド会計ソフトを導入する
日々の記帳業務の負担を減らすためには、まずはクラウド会計ソフトを導入しましょう。銀行口座やクレジットカードを連携させれば、日々の取引データが自動で取り込まれ、勘定科目もAIが推測してくれます。
数字の入力という単純作業はシステムに任せ、事業の戦略を練る時間に集中できる環境作りが大切です。
解決策2:AIやオンラインアシスタントを活用する
人を雇いたくないなら、AIツールやオンラインの事務代行サービスを活用する方法があります。
人を直接雇用すると、社会保険の手続きや人間関係のトラブルが負担に感じるでしょう。しかし、月額数万円で請求書の発行やメール対応だけをオンラインアシスタントに外注すれば、人を雇うストレスゼロで自分の分身を作れます。
解決策3:やらないことを決める
業務を効率化する効果的な方法は、「自分がやらなくていい業務は捨てる」と決断することです。副業の限られた時間の中で付加価値を生まない作業にこだわっていては、心身ともに疲弊します。
例えば、経理作業や誰でもできる単純作業などです。得意な営業活動だけにリソースを全振りすることで、働く時間を半分に減らしながら利益を3倍にすることもできます。
時間が限られる副業であるからこそ、完璧主義を捨てて「やらないことリスト」を作ることが大切です。
副業会社員が税理士を味方につけるメリット
「税理士への毎月の顧問料ってもったいない」と感じていませんか?確かに固定費は増えますが、コストではなく社長の貴重な時間とキャッシュを守るための投資です。
ここでは、税理士を味方につけるメリットについて解説します。
記帳代行や決算の負担が大幅に減る
税理士に依頼すれば、領収書を丸投げするだけで面倒な帳簿づけから複雑な法人の決算申告までを代行してくれます。法人の税務申告は個人の確定申告とは比較にならないほど専門的で、素人がネットの知識だけで作成するのは難しいです。
自力で法人の決算をする場合、30時間以上の時間がかかる可能性もあります。決算中は副業がストップするため、売上にも影響するでしょう。
AIによる申告書作成なども考えられますが、作成された申告書が正しいとは限りません。場合によっては、不要な税金を払ってしまうリスクもあります。ビジネスを成長させるためには、税理士に依頼することをおすすめします。
安い確定申告丸投げパックについては、以下の記事で詳しく解説しています。
税務調査時に立会いを依頼できる
税理士に依頼していると、万が一税務署から調査に入られても、税理士に立会いを依頼できます。税務調査官は税金のプロですから、専門知識のない社長が一人で対応すると、言われるがままに不利な指摘を受け入れてしまうリスクが高まります。
また、税務調査に立ち会うため、貴重な有給をまとめて2〜3日以上取得する必要があるかもしれません。税理士の存在が、いざという時の安心感をもたらします。
気軽に相談できるパートナーになる
孤独な一人社長にとって、税理士は自社の数字を把握している最高の経営パートナーになります。税理士はさまざまな会社の裏側を見てきているため、税金だけでなく資金繰りやビジネスモデルの相談もできます。
例えば、次の事業に投資すべきか、役員報酬はいくらに設定するのかなどの相談です。一人で悩んで時間を無駄にするくらいなら、木下博昭税理士事務所を頼ってください。社長の右腕として全力でサポートいたします。
まとめ
副業の利益が増えてきたら、税金対策や信用力向上のために法人化は避けて通れない選択肢です。一人で会社を作れば、人間関係のストレスに悩まされることなく、社宅の活用や所得分散によって手元にしっかりお金を残す仕組みを作れます。
しかし、社会保険の手続きや法人住民税などのランニングコスト、そして複雑な決算業務など、一人社長だからこそ直面する壁があるのも事実です。人を雇いたくない、面倒な事務作業はやりたくないという社長こそ、税理士の力を借りましょう。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
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熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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