
事業が軌道に乗り、知り合いに法人化を進められることもあるでしょう。一方「法人化が節税にならなかった」と聞き、不安に感じていませんか?
法人化は節税になるケースと節税にならないケース、どちらもあります。法人化の判断をなんとなくで進めてしまうと、「思ったより手取りが増えない」「逆に負担が増えた」と後悔するケースも少なくありません。
この記事では、法人化の節税について解説します。法人化後のシミュレーションや役員報酬についても分かる内容です。
この記事で分かること
- 法人化で手取りが減ると言われる理由
- 法人化後の手取りシミュレーション(所得別)
- 法人化しない方がいいケース
Q. 法人化は節税にならないのですか?
A. 法人化は、利益や売上、タイミングなどによって節税になるケースとならないケースに分かれます。例えば、課税所得が1,000万円超の場合は節税になり、利益が100万円以下であれば節税にならないでしょう。
また、法人化によって社会保険料や税理士費用などの負担も含めて、法人化を考えることが大切です。
Q. 法人化が節税にならない具体的なケースはありますか?
A. 利益が少ない場合は、節税にならない可能性があります。一般的には課税所得800万円超が法人化の目安です。
ただし、法人化の目的が信用力を高める、事業承継などのケースもあります。まずは法人化する目的を明確にしてみましょう。
Q. どうすれば手元のお金を残せますか?
A. 社長の状況に合わせたシミュレーションを行うことが大切です。事業の将来計画と現在の生活費をもとに、個人と法人それぞれの手取りを比較することで、最適なタイミングや方法が見えてきます。一般論ではなく、個別の数字で判断することが重要です。
木下博昭税理士事務所は、法人化の実績が豊富です。状況にあわせたシミュレーションと、お金を残す対策ができます。平日の夜や土日でも、無料相談を実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
- 0.1.1. この記事で分かること
- 1. 法人化は節税にならない?手取りが減ると言われる隠れたコスト
- 1.1. 社会保険料
- 1.2. 法人住民税の均等割
- 1.3. 税理士報酬
- 2. 法人化後の手取りシミュレーション
- 2.1. ケース1:事業所得600万円(個人のままが有利)
- 2.2. ケース2:事業所得1,000万円(手取りの逆転ポイント)
- 2.3. ケース3:事業所得1,500万円(法人化のメリットあり)
- 3. 手元のお金を残すには役員報酬のバランスが重要
- 3.1. 役員報酬の金額で手取りが異なる
- 3.2. 戦略1:法人に資金を残して事業投資に回す
- 3.3. 戦略2:個人に資金を残して生活を豊かにする
- 4. 自己判断は危険!詳細なシミュレーションを依頼する理由
- 4.1. 借入の返済を含めないと黒字倒産のリスクが高くなるから
- 4.2. 未来の予測を含めないと前提が崩れるから
- 4.3. 法人化しない方がいいケースがあるから
- 5. 木下博昭税理士事務所はお金を残す対策が得意
- 6. まとめ
法人化は節税にならない?手取りが減ると言われる隠れたコスト
法人化は節税になると思われがちですが、実際には見落としやすいコストが存在します。これらを把握せずに進めてしまうと、思ったよりお金が残らないと感じる原因になりかねません。
ここでは、法人化したときに多くの方が負担に感じやすい代表的なコストを見ていきましょう。
社会保険料
法人化すると、原則として社会保険への加入が必要になります。会社から役員報酬(給料)を受け取ると、給料の金額に応じて健康保険料や厚生年金がかかります。社会保険料は会社が約半分を負担するため、個人が負担する金額は減るでしょう。
しかし、会社と個人の合計社会保険料は、個人事業主が負担する社会保険料よりも高くなる可能性があります。そのため、手取りが減ると言われるのです。
法人住民税の均等割
法人になると、たとえ利益が出ていなくても、毎年必ず支払う税金があります。それが法人住民税の均等割です。金額は自治体によって異なりますが、一般的には年間約7万円が目安です。
個人事業主の場合は利益が出なければ所得税も少なくなります。しかし、法人はこの均等割が固定で発生するため、稼げていないのに税金だけ払うという状況になることもあります。
事業が安定していない段階で法人化すると、法人住民税の均等割がじわじわと負担になり、結果的に手元のお金を減らしてしまう可能性があります。
税理士報酬
法人になると、会計や税務の処理が複雑になるため、税理士へ依頼するケースが増えます。
顧問契約を結ぶ場合、一般的には月2〜3万円ほど、決算時には別途費用がかかることもあります。一見すると高く感じるかもしれませんが、正しく運用すれば節税や資金繰りの改善につながる重要な投資でもあります。
ただし、売上や利益がまだ小さい段階では、税理士報酬がそのまま負担となり、手取りを圧迫する原因になることもあります。法人化を検討する際は、税理士費用を含めても本当に手元にお金が残るのかという視点で判断することが大切です。
法人化はうまく活用すれば大きなメリットがあります。しかし、今回ご紹介したように、見えにくいコストを考えずに進めると、かえって手取りが減ってしまうこともあります。大切なのは、税金が安くなるかではなく、最終的にいくら手元に残るかで判断することです。
法人化後の手取りシミュレーション
法人化が有利かどうかは、なんとなくのイメージではなく、実際の数字で比較することが大切です。特に重要なのは、税金だけでなく社会保険料や法人の利益まで含めて、最終的にいくら手元に残るのかを見ることです。
ここでは、利益額ごとに「個人のまま」と「法人化した場合」の違いを、具体的な数字で比較していきます。自分の状況に近いケースを参考にしながら、判断のヒントにしてみてください。
ケース1:事業所得600万円(個人のままが有利)
まずは、事業所得が600万円のケースを見てみましょう。
| 事業所得 | 600万円 |
| 個人事業税 | 5% |
| 扶養 | なし |
| 所得控除 | 基礎控除と社会保険料控除のみ |
| 消費税の納税義務 | なし |
| 法人化後の給料 | 500万円 |
上記のケースで法人化前と後を比較すると以下になります。
| 法人化前 | 法人化後 | |
|---|---|---|
| 法人化前 | 法人化後 | |
| 所得税 | 49万円 | 12万円 |
| 住民税 | 48万円 | 24万円 |
| 事業税 | 16万円 | 0円 |
| 社会保険料 | 80万円(国保+年金) | 70万円(個人負担分) |
| 個人の手取り | 407万円 | 394万円 |
| 法人の所得(社会保険料の負担含む) | ― | 30万円 |
| 法人税等 | ― | 14万円 |
| 法人の税引き後利益 | 16万円 | |
| 個人と法人の合計 | 407万円 | 410万円 |
※令和8年の基礎控除をもとに計算しています。
法人化後の給料は、法人が負担する社会保険料を想定して500万円にしています。
今回のケースでは、法人化後は個人の手取りが約13万円減っています。法人化すると税率自体は下がりますが、社会保険料や法人側の税金が発生するため、結果として手元に残るお金はそれほど増えません。
特にこの水準では、法人に利益を残す余裕が少なく、個人の手取りで比較するとむしろ減ってしまうこともあります。また、今回のシミュレーションには税理士報酬を含めていないため、実際には法人は赤字となるでしょう。
まだ売上が安定していない段階では、無理に法人化せず、個人で効率よくお金を残す方が現実的といえます。
ケース2:事業所得1,000万円(手取りの逆転ポイント)
次は事業所得1,000万円のケースです。
| 事業所得 | 1,000万円 |
| 個人事業税 | 5% |
| 扶養 | なし |
| 所得控除 | 基礎控除と社会保険料控除のみ |
| 消費税の納税義務 | なし |
| 法人化後の給料 | 900万円 |
上記のケースで法人化前と後を比較すると以下になります。
| 法人化前 | 法人化後 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 130万円 | 65万円 |
| 住民税 | 85万円 | 55万円 |
| 事業税 | 36万円 | 0円 |
| 社会保険料 | 110万円(国保+年金) | 116万円(個人負担分) |
| 個人の手取り | 639万円 | 664万円 |
| 法人の所得 | ― | △16万円 |
| 法人税等 | ― | 7万円 |
| 法人の税引き後利益 | △23万円 | |
| 個人と法人の合計 | 639万円 | 641万円 |
※令和8年の基礎控除をもとに計算しています。
事業所得が1,000万円を超えてくると、法人化によるメリットが少しずつ見え始めます。このあたりが、手取りの逆転ポイントと言われる水準です。個人のままでは所得税の税率が上がるため、法人で給与として受け取る方が、個人の手取りは増える傾向があります。
ただし、ここでも注意したいのが固定費です。給料が900万円の場合、会社が負担する社会保険料で赤字になる恐れがあります。赤字でも均等割の納付が必要なため、法人は手元の資金が減ります。
数字上は有利に見えても、実際のキャッシュフローまで考えることが重要です。判断を誤らないためには、自分の状況に合わせたシミュレーションが欠かせません。
ケース3:事業所得1,500万円(法人化のメリットあり)
最後に事業所得1,500万円のケースです。
| 事業所得 | 1,500万円 |
| 個人事業税 | 5% |
| 扶養 | なし |
| 所得控除 | 基礎控除と社会保険料控除のみ |
| 消費税の納税義務 | なし |
| 法人化後の給料 | 1,400万円 |
上記のケースで法人化前と後を比較すると以下になります。
| 法人化前 | 法人化後 | |
|---|---|---|
| 所得税 | 292万円 | 182万円 |
| 住民税 | 135万円 | 102万円 |
| 事業税 | 61万円 | 0円 |
| 社会保険料 | 110万円(国保+年金) | 141万円(個人負担分) |
| 個人の手取り | 902万円 | 975万円 |
| 法人の所得 | ― | △41万円 |
| 法人税等 | ― | 7万円 |
| 法人の税引き後利益 | △48万円 | |
| 個人と法人の合計 | 902万円 | 927万円 |
※令和8年の基礎控除をもとに計算しています。
事業所得が1,500万円を超えてくると、法人化のメリットがはっきりと見えてきます。個人での所得税は高い税率が適用されるため、法人で給与と利益を分けて管理することで、全体の税負担を抑えることが可能です。
社会保険料の負担を考えて、法人化後の給料は1,300万円にする選択肢もあります。税理士報酬のコストを含めても、利益が出るでしょう。手取りを増やすことが法人化の目的の場合、利益が大きくなってきた段階で法人化を検討するのが現実的といえます。
今回のシミュレーションは消費税を含めていません。消費税のシミュレーションについては、以下の記事で詳しく解説しています。
手元のお金を残すには役員報酬のバランスが重要
法人化すると、どれくらい自分に給料(役員報酬)を出すかがとても重要です。役員報酬の決め方ひとつで、税金や社会保険料の負担が大きく変わり、最終的な手取りにも大きな差が出ます。
単純に「多くもらえばいい」「少なくすれば節税になる」というものではなく、法人と個人のバランスを考えた設計が必要になります。
ここでは、役員報酬の考え方と、お金を残すための具体的な戦略を分かりやすく解説していきます。
役員報酬の金額で手取りが異なる
役員報酬は、会社が個人へ支払う給料ですが、その金額によって手取りは大きく変わります。報酬を多く設定すると、個人の所得税や住民税、社会保険料が増え、手元に残るお金は思ったほど増えません。
一方で、報酬を少なくすると個人の税負担は軽くなりますが、会社に利益が残り、法人税がかかる形になります。つまり、「個人で税金を払うのか」「法人で税金を払うのか」の違いであり、どちらが有利かは利益額や状況によって変わります。
そのため、利益や将来の予測などを含めた、社長だけの法人化シミュレーションが重要です。個人事業主が法人化して節税できるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。
戦略1:法人に資金を残して事業投資に回す
役員報酬と法人の利益のバランスを考える戦略の一つ目は、役員報酬をあえて抑え、会社に利益を残すことです。会社の資金が増え、将来の事業投資に回すことができます。
例えば、新しい設備の購入や広告費、採用費などに使うことで、事業の成長スピードを上げることが可能です。会社に資金があることで、資金繰りに余裕が生まれ、経営の安定にもつながります。
ただし、個人の生活費が不足すると生活が困難になるため、最低限必要な生活費は確保したうえでバランスを取ることが大切です。「今の生活」と「将来の成長」のどちらを優先するかを考えながら設計しましょう。
戦略2:個人に資金を残して生活を豊かにする
もう一つの戦略は、役員報酬を多めに設定し、個人の手取りを増やす方法です。生活費に余裕を持たせたり、住宅ローンや教育費などの支出に対応しやすくなるため、安心して生活できるメリットがあります。
個人の収入が増えることで、将来の資産形成や貯蓄もしやすくなります。事業とは別に生活の安定を重視したい方にとっては、有効な選択肢です。
ただし、報酬を増やしすぎると所得税や社会保険料の負担が大きくなり、結果的に手取り効率が悪くなることもあります。重要なのは、いくらもらうかではなく、どのバランスが一番お金が残るかです。
自己判断は危険!詳細なシミュレーションを依頼する理由
法人化は、なんとなく得になりそうというイメージで判断すると、思わぬ落とし穴にはまることがあります。税金や社会保険だけでなく、資金繰りや将来の変化まで含めて考えないと、「黒字なのにお金がない」「思ったより手取りが増えない」といった状況になりかねません。
だからこそ、自己判断ではなく、専門家による具体的なシミュレーションが重要になります。ここでは、詳細なシミュレーションを依頼する理由を解説していきます。
借入の返済を含めないと黒字倒産のリスクが高くなるから
法人化のシミュレーションで見落とされがちなのが、借入の返済です。利益や税金だけを見て判断してしまうと、実際の資金繰りとのズレが生まれることがあります。
なぜなら、借入の元本返済は経費ではないからです。帳簿上の利益には影響しませんが、実際には現金が減ります。
例えば、利益は出ているのに、毎月の返済金額が多く手元資金が減り続けると、最終的には支払いができなくなる恐れがあります。これがいわゆる「黒字倒産」です。法人化すると、社会保険料などの固定費も増えるため、このリスクはさらに高まります。
そのため、単なる利益計算だけでなく、実際にお金がどれだけ残るかを含めたシミュレーションを行うことが重要です。
未来の予測を含めないと前提が崩れるから
法人化の判断は、今の売上や利益だけで決めるものではありません。事業は成長したり、逆に落ち込んだりと変化するため、将来の見込みを考えずに判断すると前提が崩れてしまうことがあります。
例えば、今は利益が少ないから個人のままでいいと判断しても、翌年に売上が大きく伸びた場合、結果的に税負担が増えてしまうこともあります。逆に、法人化したものの売上が伸びず、固定費だけが重くのしかかるケースも珍しくありません。
このようなリスクを避けるためには、「売上が増えた場合」「減った場合」など、複数のパターンでシミュレーションすることが大切です。未来を見据えた判断をすることで、後悔のない選択ができるようになります。
法人化しない方がいいケースがあるから
法人化はすべての人にとって有利になるわけではありません。売上や利益の規模、家族構成、今後の事業計画によっては、個人事業主のままの方が手取りが多くなるケースもあります。
特に、利益がまだ少ない段階では、社会保険料や法人住民税、税理士費用といった固定費の負担が大きくなり、結果的にお金が残りにくくなることがあります。生活費とのバランスが取れず資金繰りが苦しくなる場合は、法人化しない方がいいでしょう。
このような判断は一般的な目安だけでは難しく、自分の状況に当てはめて考える必要があります。だからこそ、専門家によるシミュレーションで、本当に法人化すべきかを客観的に確認することが重要です。
木下博昭税理士事務所はお金を残す対策が得意
税理士というと「申告書を作る人」というイメージを持たれがちですが、本当に重要なのは「どれだけお金を残せるか」を一緒に考えてくれるかどうかです。売上が伸びていても、税金や社会保険料などの支出によって手元にお金が残らなければ、経営は安定しません。
木下博昭税理士事務所では、単なる申告業務だけでなく、役員報酬の設計や節税のタイミング、資金繰りの改善などを含めて、「最終的にいくら手元に残るか」という視点でサポートを行っています。
まとめ
法人化は、正しく活用すれば手元にお金を残しやすくなる有効な選択肢ですが、誰にとっても必ず得になるわけではありません。社会保険料や法人住民税、税理士費用などの見えにくいコストや、役員報酬の設定によって、手取りが大きく変わる点に注意が必要です。
現在の利益だけでなく、将来の売上や資金繰りまで含めて判断しなければ、思わぬ負担につながる可能性もあります。大切なのは、「税金が安くなるか」ではなく、「最終的にいくら手元に残るか」で判断することです。
木下博昭税理士事務所では、社長の状況に合わせたシミュレーションをもとに、最もお金が残る方法をご提案しています。法人化で失敗したくない方は、ぜひ一度ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
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熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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