
「副業の利益が増えたら、会社を作った方が得なのだろうか」「取引先から会社名義を求められた」「勤務先に知られないか心配」と迷う会社員の方は少なくありません。会社を作ると、会社名義で仕事を進める土台を作れます。一方で、費用や社会保険、経理の負担も増えます。
この記事では、会社員として勤務しながら、副業を個人で始めるか会社を作るか迷っている方に向けて、個人事業と会社を比べる判断基準を解説します。会社設立は節税だけで決めず、取引条件や手元に残るお金、今後の計画を合わせて考えることが大切です。
副業の会社設立に関するよくある質問
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会社員でも副業のために一人で会社を作れますか?
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会社員の方でも、一人株式会社や一人合同会社を設立することはできます。
ただし、設立できることと、副業を問題なく続けられることは別です。勤務先の就業規則や副業の届出方法などに関するルールを先に確認しましょう。業種によっては許認可の確認も必要です。
設立後には、税務や社会保険に関する手続きも発生します。会社を作ることだけを急がず、本業との両立や設立後の運営まで見通して判断しましょう。
参考:法務省「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」
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副業で会社を作ると勤務先に知られますか?
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会社設立の手続き自体が、勤務先へ自動的に通知されるとはいえません。
ただし、社会保険の手続き、公開される登記情報、SNS、取引関係などから知られる可能性はあります。絶対に知られない方法はないため、まず勤務先の就業規則と副業の届出方法を確認することが大切です。
勤務先に知られたくないことだけを理由に、家族を名前だけの代表者にする判断は避けましょう。代表者には、実際に経営判断と責任を担う人を選ぶ必要があります。
参考:厚生労働省「副業・兼業」
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副業の利益がいくらになったら会社を作るべきですか?
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会社を作るべき利益の目安に、すべての方に当てはまる一律の基準はありません。
本業の給与、副業の利益、社会保険料、法人の維持費、今後の計画などを総合して判断します。また、個人と会社それぞれで手元に残るお金を比べる必要があります。
利益額だけで結論を出さず、副業を今後も続ける見込みや、会社名義が必要かどうかも合わせて判断しましょう。
- 1. 副業の会社設立に関するよくある質問
- 2. 副業で会社を設立する5つのメリット
- 2.1. 会社名義で仕事の土台を作れる
- 2.2. 法人でなければ取引できない相手にも対応できる
- 2.3. 会社のお金と自分のお金を分けて管理しやすい
- 2.4. 稼いだお金を会社に残すか給与として受け取るか考えられる
- 2.5. 将来の独立・採用・事業拡大に備えやすい
- 3. 副業で会社を作れば必ず節税できるわけではない
- 3.1. 「副業の利益が○万円なら会社」と一律には決められない
- 3.2. 本業の給与があると税金や社会保険料も含めて考える必要がある
- 3.3. 会社の維持費まで含めて手元に残るお金を比べる
- 4. 副業で会社を作ると増えるお金と手間
- 4.1. 利益が出なくても税金を負担することがある
- 4.2. 本業で社会保険に入っていても追加の手続きが必要になることがある
- 4.3. 会社のお金を自分の生活費のように自由には使えない
- 4.4. 経理・決算・申告などの手間が増える
- 5. 副業は個人事業と会社のどちらが向いている?
- 5.1. まず小さく副業を始めたいなら個人事業も検討する
- 5.2. 取引先から会社名義を求められているなら会社設立を検討する
- 5.3. 副業の利益が安定してきたら手元に残るお金を比べて判断する
- 5.4. 将来の独立・採用・借入を考えているなら会社設立も検討する
- 5.5. 会社設立の判断チェックリスト
- 6. 副業で会社を作るか迷ったら登記前に税理士へ相談する
- 7. まとめ
副業で会社を設立する5つのメリット
会社設立のメリットは、税金だけではありません。取引上会社名義が必要な方、副業を継続する見込みがある方、将来の独立・採用・借入を考えている方には、会社設立のメリットがあると言えます。
ここでは、副業で会社を設立する主なメリットを5つ紹介します。
会社名義で仕事の土台を作れる
会社を設立すると、契約、請求書、入金口座を会社名義にできます。個人の副業と会社の事業を分けやすくなるため、継続的に取引する場合には契約やお金の流れを整理しやすくなります。
ただし、会社名義にしただけで取引が増えるとは限りません。取引先の契約条件を確認して判断しましょう。
法人でなければ取引できない相手にも対応できる
取引先によっては、契約先を法人に限定している場合があります。このような相手と取引したいときは、会社を設立することが検討する理由になります。
一方で、すべての取引先が会社名義を必要とするわけではありません。現時点の取引先と、今後想定する取引先の条件を分けて確認することが大切です。
会社のお金と自分のお金を分けて管理しやすい
会社名義の口座を使うことで、事業に使うお金と生活費を分けて管理しやすくなります。個人事業でも口座を分けることはできますが、会社では法人と個人は別の存在です。そのため、会社のお金を生活費と混ぜずに管理する必要があります。
副業を一時的な収入ではなく、一つの事業として管理したい方にはメリットがあります。
稼いだお金を会社に残すか給与として受け取るか考えられる
会社で得た利益は、すべてをすぐ生活費として受け取るのではなく、事業資金として会社に残すか、役員報酬として個人が受け取るかを考えられます。将来の設備、採用、独立後の運転資金に備えたい方にとっては、資金計画を立てるきっかけになります。
ただし、会社に残ったお金は個人が自由に使えるお金ではありません。会社の資金と生活費を混ぜず、役員報酬をどう決めるかも含めて管理することが必要です。
将来の独立・採用・事業拡大に備えやすい
副業を将来の独立につなげたい方や、採用、借入、事業拡大を考えている方にとって、会社を作ることは事業の枠組みを整える準備になります。会社名義の契約や資金管理、会計を早めに整えておくことで、次の計画を進めやすくなります。
ただし、会社を作ったからといって、採用や借入、取引の拡大が実現するわけではありません。必要な時期と、設立後に運営を続けられる体制があるかを見て判断しましょう。
副業で会社を作れば必ず節税できるわけではない
会社設立は、税金だけを理由に決めるものではありません。本業がある会社員の方は、個人と副業の両方のお金の流れを見て比較する必要があります。
「副業の利益が○万円なら会社」と一律には決められない
「利益がこの金額を超えたら会社設立」と、一律には決められません。本業の給与額や副業の利益の安定性、社会保険料など設立後の維持費で、判断することが大切です。
利益が増えていても、一時的なものなら個人事業のまま続けた方がよいケースもあります。反対に、利益が大きくなくても、取引先から会社名義を求められているなら、設立を検討すしましょう。
本業の給与があると税金や社会保険料も含めて考える必要がある
会社員が副業を法人化するときは、本業の給与、副業法人の利益、役員報酬を合わせて考える必要があります。「所得税率より法人税率の方が低いから得」と単純には判断できません。
住民税や社会保険料まで含め、会社と個人を合わせていくら残るかで比較しましょう。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考:国税庁「No.5759 法人税の税率」
会社の維持費まで含めて手元に残るお金を比べる
会社を作ると、設立費用だけでなく、会計ソフトや税理士への報酬などの維持費も発生します。税金が減っても、社会保険料や維持費がそれ以上に増えれば、法人化の金銭的なメリットは小さくなります。
消費税についても、新設法人なら必ず免税になるとは限りません。会社設立を検討するときは、節税額ではなく、すべての負担を差し引いた後に残るお金を比較しましょう。
参考:国税庁「No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき」
副業で会社を作ると増えるお金と手間
会社を作るか判断するには、メリットだけでなく設立後の負担も確認する必要があります。特に会社員の方は、本業と並行して会社を管理することになるため、費用と手間を無理なく負担できるかが重要です。
利益が出なくても税金を負担することがある
会社は赤字でも、法人住民税の均等割などを負担することがあります。まだ副業の売上が安定していない場合は、利益が少ない年でも会社を維持できるかを考えておく必要があります。
参考:熊本市「法人市民税とは」
本業で社会保険に入っていても追加の手続きが必要になることがある
会社員が副業法人を設立した場合でも、社会保険の確認は必要です。法人事業所は健康保険・厚生年金保険の適用対象となり、本業と副業法人の双方で被保険者になる場合には、二以上事業所勤務に関する手続きが必要になることがあります。
会社設立前に、役員報酬だけでなく社会保険料への影響も確認しましょう。また、二以上事業所勤務の手続きが原因で、本業の会社に会社設立がバレる恐れがあるため注意が必要です。
以下の記事で詳しく解説しています。
参考:日本年金機構「適用事業所と被保険者」
参考:日本年金機構「被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき」
会社のお金を自分の生活費のように自由には使えない
会社のお金と個人のお金は別です。生活費として受け取る場合は、役員報酬などとして適切に処理する必要があります。また、役員給与を会社の損金にするには一定の要件があります。
「必要なときに会社のお金を引き出せばよい」とは考えず、毎月必要な生活費と会社に残す資金を先に整理しておきましょう。
参考:国税庁「No.5211 役員に対する給与」
経理・決算・申告などの手間が増える
法人を設立すると、日々の経理に加えて、決算や法人税などの申告が必要になります。副業に使える時間が限られている方は、費用だけでなく経理や手続きに時間を使えるかも判断材料になります。
自分で対応するのか、会計ソフトや専門家を利用するのかも設立前に決めておきましょう。
参考:国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
副業は個人事業と会社のどちらが向いている?
副業が個人業と会社、どちらが向いているかは以下の表を参考にしてください。
| 比較項目 | 個人事業 | 会社 |
|---|---|---|
| 始めやすさ | 小さく始めやすい | 設立手続きが必要 |
| 契約名義 | 個人名義が基本 | 会社名義で契約できる |
| 費用 | 抑えやすい | 設立費用・維持費がかかる |
| 税金 | 本業給与を含めて考える | 会社と個人の双方で考える |
| 社会保険 | 本業の加入状況を確認 | 法人としての適用も確認 |
| 経理 | 比較的シンプル | 決算・法人税申告が必要 |
| 将来の事業拡大 | 小さく試す段階に向く | 独立・採用などを見据えやすい |
判断するときは、「法人の方が得そう」ではなく、今の自分がどちらに近いかを見ていきましょう。
まず小さく副業を始めたいなら個人事業も検討する
副業を始めたばかりで、売上や継続性がまだ分からないなら、個人事業で小さく始める方法があります。取引先も個人名義で問題なく、法人でなければ困る事情がないのであれば、会社を急いで作る必要はありません。
「まず試したい」という段階なら、個人事業の方が向いているでしょう。
取引先から会社名義を求められているなら会社設立を検討する
取引先が法人とのみ契約する場合は、会社設立を検討するタイミングです。この場合は、税金よりも取引条件が判断基準になります。
すでに具体的な取引があり、会社名義でなければ契約できないのであれば、利益額にかかわらず設立を検討しましょう。
副業の利益が安定してきたら手元に残るお金を比べて判断する
毎年ある程度の利益が見込めるようになったら、個人事業と会社で手元に残る金額を比較しましょう。本業給与、副業利益、役員報酬、税金、社会保険料、維持費などを含めて計算することが重要です。
比較した結果、会社の方にメリットがあるなら、法人化を具体的に検討するタイミングです。法人化する目安については、以下の記事で詳しく解説しています。
将来の独立・採用・借入を考えているなら会社設立も検討する
数年以内に会社員を辞めて独立したい、人を雇いたい、事業資金を借りたいといった計画があるなら、会社設立を検討するタイミングと言えます。ポイントは、単に「いつか独立したい」ではなく、会社を作った後に何をしたいかが具体的になっていることです。
一人で会社を設立するメリットとデメリットについては、次の記事も参考にしてください。
会社設立の判断チェックリスト
会社設立をするか迷う場合は、次の項目を確認してみましょう。
取引
- 取引先が会社名義を必要としているか確認した
お金
- 今後の売上・経費・利益を見積もった
- 個人事業と会社で手元に残るお金を比べた
- 設立費用と毎年の維持費を確認した
- 社会保険料への影響を確認した
- 会社に残すお金と生活費を分けて考えた
勤務先
- 就業規則と副業の届出方法を確認した
- 競業や秘密保持で問題がないか確認した
設立後
- 経理や決算をどうするか決めた
- 独立・採用・借入など今後の予定を整理した
すべてにチェックが付く必要はありません。
重要なのは、分からない項目を残したまま会社を作らないことです。特に、手元に残るお金や社会保険料への影響が分からない場合は、登記前に確認しておきましょう。
副業で会社を作るか迷ったら登記前に税理士へ相談する
会社設立で迷っているなら、登記後ではなく登記前に相談することが大切です。会社を作る前であれば、個人事業を続ける場合と会社を設立する場合について、手取りやランニングコストの目安などをシミュレーションできます。
木下博昭税理士事務所では、会社設立ありきではなく、個人事業を続ける選択肢も含めて気軽に相談してください。初回面談は無料です。
「自分の利益なら会社を作るべきか」「会社名義が必要だが負担がどれくらい増えるのか」など、まだ設立すると決めていない段階でも問題ありません。
まとめ
副業で会社を設立すると、会社名義で取引でき、事業のお金を管理しやすくなります。将来の独立や事業拡大に備えられることもメリットです。一方で、設立・維持費、社会保険、経理や申告などの負担は増えます。
そのため、会社を作るかどうかは利益額だけで決めず、
- 会社名義が必要か
- 副業の利益が安定しているか
- 個人事業と会社で手元に残るお金はどう違うか
- 将来独立・採用・借入を考えているか
- 設立後の負担を続けられるか
を確認して判断しましょう。まだ小さく試したいなら個人事業、会社にする明確な理由が出てきたら会社設立を検討するという考え方が基本です。
「今の利益なら会社を作るべきか知りたい」「法人化した場合に手元に残るお金を確認したい」「会社名義が必要だが、設立後の負担が心配」という方は、登記をする前に一度ご相談ください。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
-
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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