
年収2,000万円の個人事業主の手取りは、所得によって異なります。たとえば、所得500万円なら約374万円、所得1,000万円なら約661万円、所得1,500万円なら約928万円が目安です。また、所得そのものが2,000万円の場合は、手取りの目安は約1,185万円となります。
この記事では、個人事業主で年収2,000万円の手取りについて解説します。年収や所得の違い、手取りを確認する方法についても分かる内容です。
個人事業主の年収2,000万円と手取りに関するよくある質問
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年収2,000万円は売上と所得のどちらを指しますか?
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個人事業主の場合、「年収」という言葉に明確な定義があるわけではありません。売上を年収と呼ぶ場合もあれば、必要経費を引いた後の所得を年収と呼ぶ場合もあります。
たとえば、売上が2,000万円でも必要経費が1,500万円なら所得は500万円です。手取りを確認するときは、まず「2,000万円」が売上なのか、経費を引いた後の所得なのかを分けて考えましょう。
参考:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ」
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消費税を払うと手取りはどのくらい減りますか?
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売上が2,000万円という情報だけでは、消費税の納付額までは計算できません。
消費税は、課税売上高だけでなく、課税仕入れ、基準期間・特定期間、インボイス登録の有無、一般課税か簡易課税かなどによって納付額が変わるためです。
そのため、本記事の4つのシミュレーションには消費税を含めていません。
実際の手元資金を確認するときは、所得税や住民税などとは別に消費税の納付額も確認する必要があります。
参考:国税庁「No.6501 納税義務の免除」
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年収2,000万円なら法人にした方が得ですか?
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年収2,000万円だからといって、必ず法人にした方が得になるわけではありません。
法人化を判断するときは、売上ではなく利益を確認したうえで、次のような負担を比較する必要があります。
- 個人と法人それぞれの税金
- 社会保険料
- 役員報酬
- 法人の維持費
- 個人で使えるお金
- 法人に残すお金
現在の利益が今後も続くのか、消費税や資金繰りにどのような影響があるのかも含めて比較しましょう。
- 1. 個人事業主の年収2,000万円と手取りに関するよくある質問
- 2. 個人事業主で年収2,000万円なら手取りはいくら残る?
- 2.1. 売上2,000万円・所得500万円の場合
- 2.2. 売上2,000万円・所得1,000万円の場合
- 2.3. 売上2,000万円・所得1,500万円の場合
- 2.4. 所得2,000万円の場合
- 3. 同じ年収2,000万円でも手取りが違うのはなぜ?
- 3.1. 年収が売上を指すか所得を指すかで変わるから
- 3.2. 同じ売上でも経費によって所得が変わるから
- 4. 個人事業主の手取りから引かれる税金や社会保険料
- 4.1. 所得税・住民税・個人事業税
- 4.2. 国民健康保険料・国民年金
- 4.3. 消費税は手取りとは別に考える
- 5. 年収2,000万円なら法人にした方が得?
- 5.1. 売上ではなく経費を引いた後の利益で考える
- 5.2. 個人のままと法人にした場合で残るお金を比べる
- 6. 自分の手取りを確認する方法
- 7. 年収2,000万円前後で税理士に相談した方がよいケース
- 8. まとめ
個人事業主で年収2,000万円なら手取りはいくら残る?
ここからは、次の条件で手取りをシミュレーションします。
| 内容 | 条件 |
|---|---|
| 場所 | 熊本市在住 |
| 年齢 | 39歳 |
| 扶養 | なし |
| 社会保険 | 国民健康保険・国民年金 |
| 青色申告特別控除 | 65万円 |
| 消費税 | なし |
所得控除は、基礎控除と、今回試算した国民健康保険料・国民年金保険料に対応する社会保険料控除のみとしています。
- 「所得税等」=所得税+復興特別所得税
- 「税金」=所得税等+住民税+個人事業税
- 「社会保険料」=国民健康保険料+国民年金保険料
| ケース | 税金 | 社会保険料 | 負担合計 | 手取り(消費税別) |
|---|---|---|---|---|
| 売上2,000万円・所得500万円 | 約61万円 | 約66万円 | 約126万円 | 約374万円 |
| 売上2,000万円・所得1,000万円 | 約228万円 | 約111万円 | 約339万円 | 約661万円 |
| 売上2,000万円・所得1,500万円 | 約454万円 | 約117万円 | 約572万円 | 約928万円 |
| 所得2,000万円 | 約698万円 | 約117万円 | 約815万円 | 約1,185万円 |
売上2,000万円・所得500万円の場合
売上2,000万円に対して必要経費が1,500万円あり、青色申告特別控除前の所得が500万円の場合、税金と社会保険料の負担は合計約126万円です。手取りの目安は約374万円となります。
ただし、必要経費と実際にその年に出ていく現金は、必ずしも同じではありません。たとえば、減価償却費のように、経費にはなるものの、その年に同額の現金が出ていかないものもあります。
そのため、「所得500万円だから手元にも500万円近く残っている」とは考えない方が良いです。
売上2,000万円・所得1,000万円の場合
売上2,000万円、所得が1,000万円の場合の手取り目安は約661万円となります。所得500万円のケースと比べると、所得が増えたことで所得税や住民税などの負担も大きくなります。
また、国民健康保険料も所得に応じて増えるため、税金や社会保険料の負担が大きくなります。
売上2,000万円・所得1,500万円の場合
売上2,000万円、所得が1,500万円の場合の手取り目安は約928万円となります。このケースでは、医療分・後期支援分・子ども分を合わせた国民健康保険料が限度額に達します。
社会保険料に比べて税金の負担が約4倍になるため、法人化を検討するタイミングとも言えます。
所得2,000万円の場合
所得が2,000万円の場合、税金と社会保険料の負担合計は約815万円です。手取りの目安は約1,185万円となります。所得の約4割が税金と社会保険料の負担となります。
ここで注意したいのは、このケースは売上2,000万円ではないという点です。
同じ年収2,000万円でも手取りが違うのはなぜ?
手取りに差が出る主な理由は、「年収が何を指すか」と「必要経費がいくらか」の2つです。
年収が売上を指すか所得を指すかで変わるから
一般的に売上は、必要経費を引く前の収入です。一方、所得は、売上から必要経費を引いた金額です。
たとえば、
- 売上2,000万円・経費1,500万円
- 所得2,000万円
では、同じ「2,000万円」という数字が出てきても、税金を計算する前の金額が大きく異なります。年収が、まず売上なのか所得なのかを確認することが大切です。
参考:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ」
同じ売上でも経費によって所得が変わるから
売上が同じでも、必要経費が違えば所得は変わります。たとえば売上2,000万円の場合でも、経費1,500万円なら所得500万円、経費500万円なら所得1,500万円です。所得が変われば、所得税や住民税、国民健康保険料などの負担も変わります。
ただし、税金を減らすためだけに経費を増やせばよいわけではありません。たとえば、100万円を使って経費にしても、税金が100万円減るわけではないためです。不要な支出を増やせば、税金は減っても手元のお金まで減る可能性があります。
手取りが残りにくい原因を詳しく確認したい方は、以下の記事もご覧ください。
個人事業主の手取りから引かれる税金や社会保険料
個人事業主の手取りを考えるときは、所得税だけを見ても正確には把握できません。主に次の税金・社会保険料を確認する必要があります。
| 負担 | 何を基に変わるか |
|---|---|
| 所得税・復興特別所得税 | 所得、所得控除、税率 |
| 住民税 | 前年の所得、自治体、所得控除 |
| 個人事業税 | 法定業種、税率、所得、事業主控除 |
| 国民健康保険料 | 前年の所得、自治体、世帯、年齢 |
| 国民年金保険料 | 加入月数、年度ごとの保険料 |
所得税・住民税・個人事業税
所得税は、所得が増えるにつれて高い税率がかかる部分が増える「超過累進税率」で計算されます。さらに、所得税額を基に復興特別所得税も加わります。
住民税は前年の所得や自治体の条件によって計算されるため、今年の売上が急に増えた場合でも、負担がすべて同じ時期に発生するわけではありません。
個人事業税は、対象となる法定業種に該当する場合にかかります。
今回のシミュレーションでは熊本県の5%の業種を前提としていますが、すべての個人事業主に一律5%がかかるわけではありません。業種によっては3%・4%の場合や、個人事業税の対象外となる場合もあります。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考:熊本市「市民税・県民税・森林環境税の算定について」
参考:熊本県「個人事業税」
国民健康保険料・国民年金
国民健康保険料は全国一律ではありません。前年の所得だけでなく、住んでいる自治体、年齢、世帯人数などによって金額が変わります。加入期間や納付状況によって年間の負担額が変わる場合があるため注意しましょう。
参考:熊本市「国民健康保険 保険料について」
参考:日本年金機構「国民年金保険料」
消費税は手取りとは別に考える
消費税の課税事業者に該当する場合は、手取りとは別に消費税も考えましょう。消費税の納付額は、課税売上高や課税仕入れ、インボイス登録の有無、一般課税・簡易課税などによって変わります。
また、売上代金に含まれる消費税相当額まで生活費や事業の支払いに使ってしまうと、納税時に資金が足りなくなる可能性があります。所得税や住民税などとは分けて、消費税の納税資金も確保しておくことが大切です。
消費税のシミュレーションについては、以下の記事をご確認ください。
参考:国税庁「No.6501 納税義務の免除」
年収2,000万円なら法人にした方が得?
年収2,000万円という数字だけでは、法人化した方が得かどうかは判断できません。重要なのは、売上ではなく利益と、個人・法人それぞれに最終的にいくらお金が残るかです。
売上ではなく経費を引いた後の利益で考える
法人化を検討するときは、売上金額だけで判断しないようにしましょう。たとえば売上が2,000万円でも、経費が1,500万円なら利益は500万円です。一方、売上が2,000万円より少なくても、経費が少なく利益が大きいケースもあります。
法人化を考えるときは、
- 現在の利益はいくらか
- 今後も同程度の利益が続くか
- 生活費として毎月いくら必要か
- 事業にいくら残したいか
といった点を確認する必要があります。
個人のままと法人にした場合で残るお金を比べる
個人事業主のまま続ける場合と法人化した場合では、税金だけを比較しても正確な判断はできません。法人化すると、役員報酬の設定や社会保険への加入などによって、お金の流れが変わるためです。
少なくとも、
- 個人と法人の税金
- 社会保険料
- 法人の維持費
- 役員報酬
- 個人で自由に使えるお金
- 法人に残るお金
を同じ条件で比べる必要があります。
法人化すれば必ず手取りが増えるわけではありません。現在の売上・経費だけでなく、今後の生活費や投資計画まで含めて比較しましょう。
法人化後の税金と手取りを詳しく比べたい方は、以下の記事も参考にしてください。
自分の手取りを確認する方法
自分の手取りを確認するときは、次の3ステップで数字を整理すると分かりやすくなります。
- 年収2,000万円が「売上」なのか「所得」なのかを確認する
- 売上なら、必要経費を引いて青色申告特別控除前の所得を確認する
- 本記事の4ケースから近いものを選び、自分の条件との差を確認する
特に確認したいのは、次の項目です。
- 消費税
- 所得控除
- 扶養家族
- 年齢
- 住んでいる自治体
- 前年の所得
売上や必要経費は青色申告決算書、所得は確定申告書も見ながら確認すると整理しやすくなります。
また、前年から所得が大きく増えた場合は、翌年に住民税や国民健康保険料の負担が増える可能性があります。「今年はいくら残るか」だけでなく、翌年の納税資金まで考えておくことが大切です。
年収2,000万円前後で税理士に相談した方がよいケース
年収2,000万円前後になると、単純な税率だけでは手元に残るお金を判断しにくくなります。次のような場合は、個別に数字を確認するとよいでしょう。
- 消費税の納税義務や計算方法が分からない
- 前年から所得が大きく増えた
- 住民税や国民健康保険料まで含めた資金繰りを確認したい
- 扶養、年齢、自治体など自分の条件で手取りを確認したい
- 納税資金をいつ、いくら確保すればよいか整理したい
- 個人事業主のままと法人化後で残るお金を比較したい
年収2,000万円前後になると、所得税だけでなく、住民税、個人事業税、国民健康保険料、消費税まで含めて資金を考える必要があります。
法人化を検討している場合も、設立してから考えるのではなく、個人事業主のまま続ける場合と法人化した場合で、手元に残るお金を事前に比較することが大切です。
まとめ
個人事業主で年収2,000万円の手取りを考えるときは、次の3点を押さえておきましょう。
- 年収2,000万円が売上なのか、必要経費を引いた後の所得なのかを確認する
- 本記事の条件では、手取りは約374万円から約1,185万円となる
- 消費税や法人化は、売上だけでなく所得や個別条件を基に別途確認する
まずは、ご自身の売上・必要経費・所得を分けて確認してください。
そのうえで本記事のシミュレーションと比べると、税金や社会保険料を支払った後にどのくらいお金が残るのかをイメージしやすくなります。
ただし、実際の手取りは、経費の内容や所得控除、消費税、家族構成、年齢などによって変わります。木下博昭税理士事務所では、個人事業主の税金や手取りの確認、納税資金の準備、法人化した場合との比較についてご相談いただけます。
年収2,000万円前後になり、「今のまま個人事業主を続けるべきか」「法人化するとどのくらいお金が残るのか」を具体的に確認したい方は、お気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール

- 税理士/南九州税理士会 139642
-
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
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