合同会社の設立後にやること一覧

合同会社の設立登記が終わっても、すぐにすべての手続きが完了するわけではありません。税務署への届出、社会保険、役員報酬、法人口座、経理など、事業を始めるための準備が残っています。

ただし、すべての会社に同じ手続きが必要なわけではありません。まず期限がある手続きを確認し、その後に自分の会社に必要なものを絞り込むことが大切です。

この記事では、合同会社を設立したばかりの方に向けて、設立後にやることを期限と優先順位に分けてわかりやすく解説します。

合同会社の設立後にやることに関するよくある質問

合同会社を設立したら、まず何から始めればよいですか?

まずは登記事項証明書や法人番号など、今後の手続きで必要になる会社情報を確認しましょう。

そのうえで、税務・社会保険・労働保険などの期限がある手続きから順番に確認します。役員報酬を支払うか、従業員を雇うかによって必要な手続きが変わるため、後述する一覧表から自社に該当するものを確認してください。

代表社員1人の合同会社でも社会保険に入る必要がありますか?

代表社員1人の合同会社でも、会社から役員報酬を受ける場合は、原則として健康保険・厚生年金保険への加入手続きが必要です。

従業員がいないから社会保険に加入しなくてよい、とは限りません。役員報酬を支給しない場合などは取り扱いが異なることがあるため、判断に迷う場合は年金事務所や専門家へ確認しましょう。

合同会社を設立した後、税務署には何を提出しますか?

基本となるのは法人設立届出書です。

さらに、会社の状況に応じて、青色申告の承認申請書や給与支払事務所等の開設届出書、消費税に関する届出などの提出が必要です。

参考:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類

合同会社の設立後の手続きは自分だけでもできますか?

自分で書類を作成して提出することも可能です。

ただし、役員報酬や消費税、社会保険などは、その後の税金や会社の資金繰りにも関係します。判断に迷う項目がある場合は、税理士や社会保険労務士などの専門家へ相談するとよいでしょう。

合同会社を設立した後にやることを期限順に確認する

合同会社の設立後は、まず期限が決まっている手続きから確認することが重要です。主な手続きを期限順にまとめると、次のとおりです。

目安・期限やること・対象提出先・注意点
登記完了後、早め登記事項証明書・法人番号を確認口座開設や各種届出、契約などで使用します
設立の日以後2か月以内法人設立届出書を提出税務署
自治体が定める期限まで法人設立・設置の届出都道府県・市区町村。期限や書式は自治体により異なります
設立後3か月を経過した日と第1期末のうち早い日の前日まで青色申告の承認申請青色申告をする会社が対象
給与支払事務所等を開設した日から1か月以内給与支払事務所等の開設届出役員報酬・従業員給与を支払う会社が対象
事実発生から5日以内健康保険・厚生年金保険の新規適用手続き年金事務所。代表社員1人の会社でも確認が必要です
保険関係成立日の翌日から10日以内労働保険の保険関係成立届従業員を雇う会社が対象
保険関係成立日から50日以内労働保険の概算保険料申告従業員を雇う会社が対象
事業所設置日の翌日から10日以内雇用保険適用事業所設置届雇用保険の対象となる従業員を雇う会社が対象
資格取得日の属する月の翌月10日まで雇用保険被保険者資格取得届ハローワーク
営業開始前、早め法人口座・会計方法を決める会社と個人のお金を分けて管理します
事業開始前許認可の要否を確認必要な許認可は業種によって異なります
資金が不足する前創業融資を検討日本政策金融公庫や金融機関など

すべてを一度に進める必要はありません。

まず期限が短い手続きに自社が該当していないかを確認し、その後に口座や経理などの準備を進めると整理しやすくなります。

参考:国税庁「No.5100 新設法人の届出書類
参考:日本年金機構「新規適用の手続き
参考:厚生労働省「手続き一覧表

自分の会社で必要な手続きを条件別に確認する

設立後に必要な手続きは、会社の状況によって変わります。自社がどこに当てはまるか確認してみましょう。

会社の状況優先して確認すること
代表社員1人で役員報酬を受ける健康保険・厚生年金保険、役員報酬
役員報酬・従業員給与を支払う給与支払事務所等の届出、源泉所得税
従業員を雇う労働保険・雇用保険・社会保険
青色申告をしたい青色申告の承認申請
インボイス登録を検討している消費税・インボイス登録
許認可が必要な事業を行う業種ごとの許認可
創業資金が必要創業融資・資金計画

特に設立直後に判断しておきたいのが、青色申告・役員報酬・源泉所得税・消費税です。次から詳しく確認します。

合同会社を設立したら早めに決めたい5つの税務

税務では、単に書類を提出するだけでなく、「どの制度を利用するか」「役員報酬をいくらにするか」といった判断も必要です。設立後に確認しておきたい主な項目を見ていきましょう。

法人設立届出書を税務署へ提出する

合同会社を設立したら、原則として設立の日から2か月以内に法人設立届出書を税務署へ提出します。届出書には定款の写しなどを添付します。

法人設立届出書を提出すれば税務関係の手続きがすべて終わるわけではありません。青色申告や給与、消費税についても、自社に必要な届出がないか確認しましょう。

青色申告をするなら申請期限を確認する

設立第1期から青色申告をする場合は、原則として次のうち早い日の前日までに青色申告の承認申請書を提出します。

  • 設立の日以後3か月を経過した日
  • 第1期の事業年度終了日

たとえば、第1期を短く設定している会社では、「設立後3か月」より早く期限が来ることがあります。

青色申告には、一定の要件を満たした欠損金を翌年度以降へ繰り越せるなどのメリットがあります。設立後に先延ばしにせず、早めに確認しましょう。

役員報酬はいくらにするか早めに決める

代表社員へ役員報酬を支払う場合は、金額を早めに決めておきましょう。役員報酬は、代表社員の生活費だけでなく、

  • 会社の利益見込み
  • 社会保険料
  • 法人と個人の税金
  • 会社に残しておきたい資金

などを考えて決めます。

また、役員報酬を法人税の計算上、損金として扱うためには「定期同額給与」などの要件があります。

定期給与の通常の改定は、原則として事業年度開始から3か月以内に行うなどのルールがあるため、「後から自由に金額を変えればよい」と考えないことが大切です。

参考:国税庁「No.5211 役員に対する給与

役員報酬や給与を支払うなら源泉所得税の手続きをする

役員報酬や従業員給与を支払う会社は、給与支払事務所等の開設届出書を原則として開設した日から1か月以内に提出します。また、給与などから源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。

給与を受け取る人が常時10人未満の場合は、税務署長の承認を受けることで、源泉所得税を年2回にまとめて納付できる「納期の特例」を利用できます。少人数の合同会社では事務負担を減らせるため、利用するか確認しておくとよいでしょう。

参考:国税庁「A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

消費税を納める必要があるかインボイス登録とあわせて確認する

新しく設立した法人は、一定の条件を満たせば設立当初の消費税が免税となることがあります。ただし、

  • 資本金が1,000万円以上
  • 特定新設法人に該当する
  • 消費税の課税事業者を選択する
  • インボイス発行事業者として登録する

などの場合は取り扱いが変わります。

そのため、「設立してから2年間は必ず消費税を払わなくてよい」とは限りません。取引先からインボイス登録を求められている場合や、大きな設備投資を予定している場合は、登録する前に税負担への影響も確認しましょう。

消費税の納税義務については、以下の記事で詳しく解説しています。

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参考:国税庁「No.6531 新規開業又は法人の新規設立のとき
参考:国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例

営業を始める前に会社のお金と経理を整える

届出だけでなく、事業を始める前に会社のお金を管理できる状態を作ることも重要です。特に、法人口座と経理の方法は早めに決めておきましょう。

法人口座を作って会社と個人のお金を分ける

法人口座を用意し、売上の入金や経費、役員報酬などを会社のお金として管理します。個人のお金と混ぜてしまうと、後から「会社の支出なのか個人の支出なのか」を確認する手間が増えてしまいます。

口座開設に必要な資料は金融機関によって異なるため、登記事項証明書や定款、事業内容を説明できる資料などを準備しておきましょう。

会計ソフトと請求書・領収書の保存方法を決める

設立直後から、売上や経費を記録する方法を決めておきましょう。会計ソフトを利用すると、銀行口座やクレジットカードと連携して取引を管理できるものもあります。

あわせて、請求書や領収書などをどのように保存するかも決めておくと、決算前にまとめて整理する負担を減らせます。「決算が近づいてから経理を始める」のではなく、設立直後から記録する仕組みを作ることが大切です。

税理士費用の相場については、以下の記事でご確認ください。

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創業融資を利用するなら資金が不足する前に準備する

創業融資を検討している場合は、資金が足りなくなってからではなく、早めに準備しましょう。主に確認したいのは、

  • 設備に必要なお金
  • 仕入れに必要なお金
  • 人件費
  • 家賃などの固定費
  • 売上が安定するまでの運転資金

です。

必要な資金と今後の売上・返済見込みを整理しておくと、事業計画も作りやすくなります。

融資を受けられるかどうかは審査によって決まるため、利用を検討している場合は事業開始前から準備しておきましょう。

手続きが分からないときや期限を過ぎたときの対処法

設立後の手続きには期限がありますが、期限を過ぎたからといって放置してはいけません。まず現在の状況を確認し、必要な対応を進めましょう。

期限を過ぎても放置せず提出先へ確認する

期限を過ぎていることに気づいたら、まず次の情報を確認します。

  • 会社の設立日
  • 事業年度
  • 役員報酬・給与を支払い始めた日
  • 従業員を雇った日
  • すでに提出した書類

そのうえで、税務署、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなど、該当する提出先へ確認しましょう。期限を過ぎた場合の取り扱いは手続きによって異なります。自己判断でそのままにせず、早めに対応することが大切です。

手続きの内容に合わせて税理士・社労士・司法書士へ相談する

専門家へ相談する場合は、困っている内容によって相談先が変わります。

  • 税金・会計・役員報酬・消費税:税理士
  • 社会保険・労働保険・雇用:社会保険労務士
  • 登記:司法書士

合同会社の設立後は、税務手続きだけでなく、役員報酬や資金繰りなど、今後の経営に関わる判断も必要になります。

木下博昭税理士事務所では、設立後の税務手続きに加えて、役員報酬、会計の仕組み、資金計画、創業融資などについてもご相談いただけます。「設立したものの、何から手を付ければよいかわからない」という方は、お気軽にご相談ください。

まとめ

合同会社の設立後は、税務署への届出だけでなく、社会保険、役員報酬、経理などの準備も必要です。すべてを同時に進めるのではなく、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. 期限がある税務・社会保険・労働保険の手続きを確認する
  2. 青色申告・役員報酬・消費税について決める
  3. 法人口座を作り、経理の方法を決める
  4. 必要に応じて許認可や創業融資を準備する

特に設立直後は、役員報酬や青色申告など、後から変更しにくいものや期限があるものを先に確認することが重要です。

自社に必要な手続きがわからない場合は、期限を過ぎる前に提出先や専門家へ確認しながら進めましょう。

投稿者プロフィール

木下博昭
木下博昭税理士/南九州税理士会 139642
熊本生まれ 熊本育ち
税理士の木下博昭です。税理士業界歴21年!
節税や補助金、創業融資などを利用して、会社にお金を残す!
これに特化した経営支援を行いたいと思い独立を決意。
令和元年、令和のスタートともに独立しました。
もちろん、税制を活用した節税も行います。
農業コンサルタント向けに税制改正や節税の講演も実施しています。
何かご相談があればお気軽にどうぞ!

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